<高校野球静岡大会>◇19日◇2回戦

 大会屈指の左腕が孤軍奮闘だ。6年ぶりの甲子園を目指す東海大翔洋が1-0で下田に競り勝った。打線が三重殺を喫するなど4安打1得点と沈黙する中、エース小島宏祐(3年)が3安打11奪三振で完封した。

 普段はクールで、感情を表に出さない東海大翔洋・小島が、珍しく雄たけびを上げた。初回から1点リードのまま迎えた8回表の先頭打者に、フルカウントから5球連続ファウルで粘られた。「振り遅れていたのがわかったので攻めた。変化球で逃げたくなかった」と、11球目の直球で三振を奪うと、左手を握りしめ、ガッツポーズを何度も見せた。

 初回に、3番吉川卓志外野手(3年)の本塁打で先制したが、その後は打線が沈黙した。3回無死一、二塁では、エンドランを仕掛けて、吉川が中直。打球の目測を誤って飛び出した一塁走者が二塁走者を追い抜き、さらに、センターからの送球で二塁封殺される三重殺に打ち取られた。流れが大きく傾きかけたが、4回表のマウンドに上がった小島は、先頭打者を三振に打ち取ると、難なく3者凡退で切り抜けた。滝公男監督(54)は「ムードは相手の方が断然よかった。今日は小島を褒めるしかないですね」と苦笑いを浮かべた。

 今春は中部地区大会で榛原に敗れて県大会出場を逃した。滝監督は「県大会に出られなかったから今も不安がっている。もっと自信をもってやれば打てるはず」と打線沈黙の要因を冷静に分析した。「今日はいい刺激になった試合。次も僕は全力で投げるだけだし、一戦必勝です」と小島。吉川は「もっと打って小島を助けたい」と表情を引き締めた。打線が目覚めたとき、初めて翔洋が真の強さを発揮する。【神谷亮磨】