マーリンズのイチロー外野手(41)が“NINJAスライディング”を見せた。メッツ戦で4-5の7回1死走者なしで代打出場し、右中間を破る今季初長打となる三塁打をマークした。次打者ゴードンの二ゴロでホームへ走り、いったん止まったものの再加速してホームへ突っ込んだ。これが相手捕手ダーノーへのフェイントとなり、左手で2度ホームを触りにいったイチローと2度タッチにきたダーノーとの際どいクロスプレー。球審の最初の判定はアウトだがマ軍側がチャレンジし、5分44秒の長いビデオ判定の結果、セーフに覆った。

 判定が出るまで、ベンチで待つイチローの表情は落ち着かなかった。「(2度目のタッチは)僕が早いのか、向こうが早いのか」分からなかった。セーフの判定が出た瞬間は、同僚と顔を見合わせ満面の笑み。2度のタッチをかいくぐることに成功し「どんだけエネルギーいるの。考えてできるプレーじゃない。あきらめたら絶対無理。うまくいかない。気持ちが切れたら終わりですから」と一瞬の修羅場を振り返った。レドモンド監督は「負けはしたが、ビッグプレーだった」と称賛し、ダーノーは「身体能力が見事。セーフの判定は正しかった」と話した。(ニューヨーク=水次祥子)

 ▼イチローが代打で今季初の三塁打。イチローの大リーグでの代打成績は通算48打数14安打だが、長打は初めて。代打での長打はオリックス時代の92年8月14日、日本ハム内山から左翼線二塁打を放って以来23年ぶり。三塁打は94年から日米通算22年連続で、高木守道(中日)が持つ日本プロ野球最長の20年連続を2年上回っている。得点が認められ、日米通算1964得点(日本658、米国1306)は王貞治(巨人)が持つ日本プロ野球最多の1967点にあと3点。