アストロズ今井達也投手(27)が、日本流とメジャー流の違いに直面している。
5日(日本時間6日)、傘下3Aシュガーランドで、右肩疲労で負傷者リスト入りしてから2度目のリハビリ登板に臨んだ。3回で63球を投げて、1安打3奪三振で1失点。ストライクが27球で43%しかなく、与w四球が5。大荒れとなった。
1回は三振、右前打の後、二塁ゴロ併殺で無失点だった。2回は三振、四球、二ゴロ、二ゴロで無失点。上々の立ち上がりだった。
3回に突然、乱れた。先頭から2者連続四球の後、左直で1死。ボークで二、三塁とすると、遊撃飛球で2死目を奪った。だが、ここから2連続四球で押し出し。続く打者は三振に仕留めたが、まさかの1イニング4四球となった。
試合後、地元メディアに対応した今井は、率直な感想を口にした。「ペロタ・クバーナUSA」のハビエル・ゴンザレス氏が、やりとりの一部動画をXに投稿。今井は3回に乱調となった原因について「難しいね」とした後「ボールが先行するのが多かったし、ストライクを取りに行きすぎた」と話した。ここまでは普通だが、ここからは微妙な日米の差に言及していく。
「なぜ初球にストライクが入りづらいのか」と問われた。今井は「日本はピッチクロックもないし、1球1球投げるのに時間をかけても大丈夫なんですけど。基本的にスライダーでカウントを取る投手ですし、どちらかというと左打者にどんどんインコースの真っすぐを使っていく投手なんですけど。それを試合前に話せる時間があまり取れてない。(米国は)打者の苦手な球種やコースをどんどん投げていくスタイルがある。そこの難しさというか。自分のいいところを、まだ試合で出し切れてないというか。自分の強みを出せる方法を探していければ」と話した。
この試合で今井はピッチクロック違反を1度取られた。また、ボークが1度あった。これを踏まえて、発言の前半部分では、日本にはピッチクロックがないことを説明した。
後半部分の投球スタイルについての解釈は、微妙な問題を含む。2回までは27球中、得意のスライダーは8球で30%を占めた。だが、3回は36球中3球と8%に減少した。また、左打者には40球を投じ、そのうち26球が直球だったが、内角へは7球(27%)だけ。残りは真ん中から外だった。「自分の強み」を出しているとはいえない配球だった。
今井が言う「打者の苦手な球種やコースをどんどん投げていくスタイルがある」は、最近のメジャーで流行している配球パターンだ。投手の強みや特長を生かすというよりは、データから浮かび上がる打者の弱点となる球種やコースにどんどん投げるというもの。今井が自らの長所と認識するスライダー、左打者への内角直球を、どの程度使うのかは、今後もチームの方針に左右される可能性がある。
この試合で、今井の配球は、無失点に抑えた2回までと、四球を連発した3回以降でガラリと一変した。理由がある。「1、2回はほぼ真っすぐとスライダーだった」と15球中13球は、この2球種で抑えた。この後「スプリットとチェンジアップが1、2回は全然投げられていなかったので、コーチと話して『スプリットとチェンジアップをもうちょっと増やしてほしい』と言われた。それがボール先行になっちゃって、四球が続いてという形」と明かした。3回は25球でスライダー3球、チェンジアップ3球、スプリット1球だった。チームからの要望に応えた結果が、1イニング4四球につながった。
それでも「3回の方が個人的には(収穫があった)。右打者にも初球、チェンジアップを投げたし。スプリットも投げた。それがボール、ボールになっちゃったから、捕手もカウント取らないと押し出し、押し出しになってしまうから、最後はほぼ真っすぐに結果的になってしまった」と振り返った。
アストロズは、メジャー30球団の中でも、データ活用にたけていると言われる。菊池雄星投手が、シーズン途中にブルージェイズから移籍し、使用する球種の割合を変えたところ、一気に好成績を残したこともある。どこまで投球スタイルをチームの方針と合致させ、どこまで自分で感じる長所を貫くのか。メジャーで結果を出すまでは、難しい駆け引きが続きそうだ。【斎藤直樹】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)





