マリナーズ・イチロー外野手(35)が23日、来年3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇を含む来季3つの誓いを立てた。故郷の愛知県西春日井郡豊山町で自身が主催する「第13回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席し、野球少年の前で「WBC連覇」「張本勲氏が持つプロ野球記録3085安打超え」「9年連続200本安打」達成を目標に据えた。

 意を決したようにイチローが口を開いた。「僕も来年いろんなことが待ち受けています。春はWBC、シーズンが始まれば3085という数字、9年連続…。いろいろありますがシーズン終了後、みんなに胸を張ってうれしい報告ができるように前に進んでいきたい」。

 オリックス時代に地元の野球少年に夢を与えるために始め、今回が13回目となる野球大会の閉会式。地元が生んだあこがれのメジャーリーガーを前に、食い入るように目を輝かせる少年たちの前で、大会長のイチローが誓いを立てた。

 06年第1回WBCでは、気持ちとプレーで抜群のリーダーシップを発揮し、チームを世界一へ引っ張った。今月15日に第2回WBC日本代表第1次候補34人が発表されたが、同代表の篠塚和典打撃コーチから「どんどんやってくれたらいい。越権行為だとかは思わない」と“兼任コーチ”を容認されるなど今回もリーダーとしての重責を担う。

 12日に米国から帰国後、神戸市のスカイマークスタジアムで自主トレを行った際にはWBCについて口をつぐんだが、この日は力強く前向きな言葉を残した。WBCだけでなく、あと2本で並ぶ張本氏の持つ日本プロ野球最多安打記録3085本超え、9年連続となる200本安打と、来季の記録更新にも意欲を見せた。

 今季は日米通算3000本安打を達成。その経験を踏まえて少年たちにこんなメッセージも送った。「その中には6000本以上の失敗があったことを知ってほしい。そちらの方が実は大切」。数多くの失敗から学び、考えることの重要さを説いた。

 この日、第2のイチローを目指す少年たちの前で立てた来季への誓い。「連続世界一」への思いを胸に、来年2月15日の代表キャンプインまで今後も国内を中心に調整を進め、戦いに備える。【上野竜一】