巨人村田修一内野手(34)が意地を見せた。韓国・LGとの練習試合に、2試合続けて途中出場。8回2死三塁の第2打席で、LGのセットアッパー李東鉉が投じた140キロ直球に食らいついた。右前に落とす同点適時打にも「徐々に良くなっていると思います」と表情を緩めなかった。

 尻に火が付いていた。この日の試合前練習で、原監督とグラウンドで話し合った。村田が振り返る。「『バットが振れていない。修正できるまでスタート(先発起用)はないよ』と言われました」。スタメン落ちを告げられた。看板選手の途中出場は極めて珍しい。同時に、屈辱でもある。「強い気持ちで臨まないといけない」と危機感を募らせた。

 打者は一般的に、3月から徐々に打撃の調子を上げていく。例年のキャンプなら目立たない不振だ。だが、今年の巨人では違った。大田や橋本ら若手に亀井を筆頭とした中堅に、金城、井端、高橋由らベテラン組まで、全員が好調をキープしている。「ゆっくりやっているわけじゃない」と言いつつ、焦りはあった。

 取り組んできたすり足打法と決別した。左足のインステップを矯正するために練習してきたが、しっくり来ず、持ち前の力感あるスイングが影を潜めた。「上半身と下半身が合っていないからタイミングがずれる。バットが力強く出てこない」。左足を上げて思い切り振り抜くと力強さが戻り始めた。

 原監督は「弱肉強食の世界。しっかり見極めたい」とクールに言った。村田も「開幕に向けて前進していきたい。バットを振るしかない」と静かに決意を口にした。【浜本卓也】