DeNAは足技小技で3連勝をもぎ取り、07年以来の首位に浮上した。5回先頭の梶谷隆幸外野手(26)が、中前に転がる安打で二塁を陥れ、さらに中飛2つで生還した。6回には1死三塁から意表をつくスクイズで貴重な4点目を奪った。三塁走者は足の速くない捕手・黒羽根で、打者は前日から6安打と当たっている石川で策を成功させた。3回から毎回1点ずつ積み重ねて逃げ切り、貯金3も07年以来で、中畑DeNAでは初の快進撃だ。

 昨季盗塁王のDeNA梶谷が、足攻で阪神をかき回した。5回先頭でカウント2-2からの5球目を振り抜くと、打球は二塁ベースに当たって勢いがわずかに弱まった。中堅江越のチャージが緩いと見るや、一気に加速して二塁へ滑り込んだ。筒香の中飛で三塁へ。さらにバルディリスの中犠飛で生還。適時打なしで進塁を重ねて得点した。

 梶谷はしてやったりだ。「一塁を回ったとき(江越が)チンタラしているのが見えた。いいスキがつけた。逆に自分も注意しなきゃ」と言って笑った。常に先の塁を狙っている。この積極姿勢が4番筒香との絶妙なコンビネーションを生みチームに勢いを呼んでいる。盗塁に関して「オレのことは見ないでいつ打ってもいい。でもオレも関係なく走るぞ。もし走っているのが見えて変化球だったら、見逃してくれる?」。これが仲良し2人の申し合わせ。相手投手が盗塁を気にすれば外角球が増え、狙い球が絞りやすくもなる。梶谷は足を生かし、筒香は打席に集中できる。

 この姿勢が足の遅い黒羽根にも影響を与えた。6回先頭で左中間を破る二塁打を放ち犠打で三塁に進んだ。ここで好調の石川が、外野フライでいいケースでスクイズを決めた。「必死でした。とりあえずゴロを転がすことしか考えていなかった。黒羽根の好走塁にも助けられた」と、普段はクールな男が笑顔を見せた。

 中畑監督はもう驚かない。「ソツのない野球ができた。みんなに浸透してきている。緻密な野球をやればうちにも十分にチャンスはある。少しずつ強いチームの野球に近づいている手ごたえを感じている」と、ナインの成長に目を細めた。しかし、最後はやっぱりキヨシ節。「首位? 住みにくいんだよね。あそこのポジションは。落ち着かないね」。とは言いながら、顔は心底うれしそうにクシャクシャに崩れていた。【矢後洋一】

 ▼DeNAが3連勝で中日に並んで首位。DeNAの貯金3は07年8月13日(49勝46敗1分け)以来となり、10試合以上消化しての首位は07年5月3日(16勝10敗)以来と、ともに8年ぶり。中畑監督が貯金2で迎えた試合は13年3月31日中日戦●、15年4月3日ヤクルト戦●で、3度目の挑戦で貯金3に到達した。ここまで昨年8勝15敗1分けの広島戦に3連勝、昨年4勝8敗の甲子園球場で2連勝と、昨年の苦手を克服して首位に立った。