巨人先発の菅野智之投手(25)は8回を1失点で完投負けした。連打で無死一、三塁とした1回、広島丸が放った内野ゴロの間に失点。このまま試合は動かなかった。

 一般論として、投手を責めることはできない。ただ、菅野には巨人の金看板を背負う資質がある。だから「よく投げた」で済ませるわけにもいかない。斎藤投手コーチは「責めても仕方ないんだけど」と前置きしつつ「相手がマエケンなんだから。こうなる可能性は高いんだから」と、心を鬼に指摘した。

 春先はロースコアの展開が多い。巨人も例外ではない。斎藤コーチは小差の試合をことごとく勝ったから「平成の大エース」と呼ばれた。表向きは厳しいコメントに聞こえるが、説得力が全く違う。期待の裏返しと受け取る方が正しい。

 本人も重々、分かっている。「結果がすべて」と3回も繰り返した。「自己満足で試合をしているわけではない。(前田は)その辺のピッチャーとは違う。向こうがゼロなら、ゼロで抑えるのが僕の仕事。次、頑張ります」と受け止めた。高いレベルに調子は関係ない。ゼロに抑えるか、抑えないかで白黒がつく。

 前回登板でも阪神メッセンジャーに屈した菅野。今後もエース格と当たる。仲間が打てなければ、4回以降のように寸分のスキも見せず、投げ勝てばいい。しびれる投手戦を最高の肥やしにして、超一流に跳ねればいい。【宮下敬至】