ソフトバンクが今季初の2ケタ得点で日本ハムに打ち勝ち、連敗を3でストップした。いきなり3点のビハインドを背負った2回、明石健志内野手(29)がプロ12年目で初となる満塁弾を放ち一気に逆転。好調中村晃を2番に入れるなど組み替えた打線も12安打10得点と機能した。3、4月を13勝11敗2分けの貯金2で終え、5月攻勢に出る。

 明石が一振りで重苦しいムードを振り払った。2回無死満塁。2球目の真ん中低めへのフォークを泳ぐように拾うと、打球はそのままアーチを描き、北海道の鷹党が待つ右翼席へ吸い込まれた。「まぐれ。人生で初めて。自分でもびっくりしました。いい感じで、ボールが(バットに)引っかかってくれた。けっこう気持ちよかったです」と笑った。

 初回、武田が日本ハム中田に先制3ランを浴びた。チームは3連敗中。そんな暗雲を吹き飛ばすプロ通算6発目が、逆転の自身初満塁弾だった。工藤監督も「あれでチームの雰囲気が変わった。すごいホームラン」とうなった。前カードの西武戦では何度も生かせなかった満塁の好機で最高の結果となった。

 明石が導火線となり、打線は12安打10得点。1点差に詰め寄られた直後の8回には4連打を含む5安打を集中し4点を奪って突き放した。打線改造が功を奏した。1番に今宮、2番に中村晃を入れた。8番に好機が来る場合が多いため、捕手を9番へ下げ、8番には打力のある江川を起用。8回には右翼線適時二塁打で期待に応えた。

 選手を競わせ力を発揮させるのが工藤野球。昨年は本多、松田とレギュラーが故障すれば代役は明石だった。だが、工藤監督は本多が故障しても二塁には明石だけでなく若い高田や実績のある川島も併用する。明石は「僕たちは1試合1試合結果を出していくだけ」と、さらなる競争激化の中、この日は8回に絶妙な三塁へのセーフティーバントを決めるなど今季3度目の猛打賞でアピールした。

 チームは3連敗でストップ。昨季4戦4敗と苦手にしていた日本ハム中村から5点を奪い、2年ぶりの黒星をつけた。「チームの雰囲気は悪くない。連勝できるように頑張りたい」と明石がお立ち台でファンに誓ったように、チームも勢いを吹き返し明日5月1日オリックス戦(京セラドーム大阪)からの6連戦に挑む。【石橋隆雄】