クセになりそう…。阪神がゲーム終盤の代打攻勢で、劣勢をはね返した。7回までわずか1安打で巨人マイコラスに沈黙。8回先頭の福留が内野安打で出ると、ピンチバンター俊介から関本、狩野の代打に代走2人も送り込んで1死満塁。4人目の代打新井良太内野手(31)が中堅に同点犠飛を打ち上げた。3安打でも2点でも、勝ちは勝ちだ。

 猛虎の誇る代打陣が横山の負けを消す、同点劇を生んだ。1点を追う8回、先頭福留がヒットを放つと、そこまで手も足も出なかったマイコラスが降板した。ここからベンチは4連続代打を繰り出した。

 まず俊介がきっちり初球で送ると、関本が冷静に四球を選んだ。さらに狩野はマシソンの152キロ剛速球を左肩付近に受ける死球で満塁。沸き上がる甲子園。ここで和田豊監督(52)が立ち上がった。打席に向かう新井に近寄ると、耳打ちした。

 「上を向かず、低い打球を打つイメージでいけ」

 狙い通り、高めの速球を上からたたくと、打球は中堅への大きな犠飛となった。勝負の流れを変え、逆転へとつなぐ一打だった。

 新井 皆さんがつないでくださったので、押せ押せでいけました。(鳥谷の決勝打は)やはり、あのへんで打たれるんで。男だなと思いました。

 自分の仕事をした後は2死一、三塁で打席に立った鳥谷に向けて声をからした。尊敬する先輩に決勝打が飛び出すと、何事かを大声で叫び、自分のこと以上に喜びを爆発させた。

 和田監督 ベンチから出て行く選手がいい仕事をしてくれた。良太もそうだし、俊介のバントも簡単ではない中、初球で決めてくれたんで、リズムが出たよね。何とか横山の負けを消してやりたいという気持ちが全員にあった。

 新人左腕の快投が不振の打線に“執念”を呼び覚ました。指揮官はそんな雰囲気を感じたという。巨人先発マイコラスに7回までわずか1安打。打線の低調は相変わらずだが、何よりも大事な勝利という結果を出した。プロの先輩たちが新人に示した意地だった。【鈴木忠平】