伝統の「早慶戦」で異例の前哨戦がヒートアップしている。30日から始まる東京6大学野球の最終節「早大―慶大」戦を盛り上げようと両大学の応援団らが企画し、対決ムードをあおる5パターンのポスターが誕生した。ハンカチ王子対ビリギャル―。ユーモアに富んだ挑発合戦が話題を呼んでいる。

 「ハンカチ以来パッとしないわね、早稲田さん」

 「ビリギャルって言葉がお似合いよ、慶應さん」

 愛校心をえぐるキャッチコピーとともに早慶の現役チアリーダーが、にらみを利かせている。「ハンカチ」とは元早大野球部主将の現日本ハム斎藤佑樹投手。「ビリギャル」とは、偏差値を40上げて慶大に合格した金髪ギャルを描いた今話題の映画のことだ。

 モデルとなった慶大チアリーディング部の池田恵梨子さん(商4年)は26日、取材に応じ「ハンカチ王子」を引用した挑発文について「驚きましたが、盛り上がりを感じて今ではテンションが上がっています」と手応えを感じている。

 企画は4月中旬、慶大側の発案で始まった。14年卒業の応援指導部OBの力も借り、学生主体でカメラマンやスタジオを探した。キャッチコピーは、両校の応援団から匿名で募集。慶大側があえて自校に自虐的なコピーを考えることもあった。

 総予算は両校で5万円と少なく、慶大が印刷したのはわずか5枚。三田、日吉両キャンパスに2枚ずつ、そして慶大生がよく通う「ラーメン二郎 三田本店」に1枚を掲示しただけ。それでも秀逸なコピーとデザインが奏功し、インターネット上で拡散。池田さんの髪が肩にかかる様子を「お高くとまっていて慶応っぽい」とか、早大のチアについては「鍛えられた腹筋がすごい」などと、好き勝手な感想が飛び交っている。

 企画をリードした慶大応援指導部の堤史門(しもん)主将(経済4年)は「最近は学生も早慶戦に行かなくなった。伝統を守りたかった」と熱く語った。さらに「(11年に卒業した)斎藤さん以来、集客が難しい。東京6大学は今年で90周年。先日、東大が久々に勝ち、注目を集めている今がチャンス」という。優勝が懸かった伝統の一戦に、5枚のポスターが大きな力を送っている。【三須一紀】

(ポスター写真は外部提供)


チアリーディング部版
チアリーディング部版
野球部版
野球部版
吹奏楽部版
吹奏楽部版
リーダー部版
リーダー部版
応援マスコット版(右は慶大ユニコン君、左は早大わーおくん)
応援マスコット版(右は慶大ユニコン君、左は早大わーおくん)
制作に関わり、自らも載った応援指導部の堤史門主将(左)とチアリーディング部の池田恵梨子さん(撮影・三須一紀)
制作に関わり、自らも載った応援指導部の堤史門主将(左)とチアリーディング部の池田恵梨子さん(撮影・三須一紀)