DeNAが、球団史上初めて両リーグ30勝一番乗りを果たした。それも、番長で決めた。三浦大輔投手(41)が7回2失点の好投。自身初の開幕から3戦3連勝と、記録ずくめの快勝となった。2点を先行されたが、7回にバルディリスの12球団制覇となる6号同点ソロに石川の勝ち越し適時打で逆転。30勝のうち半分以上の16勝が逆転勝利という勝負強さは「日本生命セ・パ交流戦」に入っても健在だ。

 7回に勝ち越し打が生まれると、ベンチ後列に座っていた三浦は前列に飛び出し殊勲の石川に祝福の拍手を送った。逆転してくれたチームメートに「ミスしてもカバーしてくれ頼もしい」と感謝した。

 立ち上がりにつまずいた。先頭西野に安打を許すと1死三塁から3連続長短打を浴びて2点を失う。「どうなるかと思ったよ」と言うのは本音だが、そこから修正能力の高さを見せる。2、3回と3者凡退。4回は併殺を含めて3人で料理し、5回も3者凡退で反撃ムードを作っていった。カーブを多投し配球を変えた。「1回は打たれたのが半速球。球種の割合を変えて的を絞らせないようにした」と軌道修正に成功した。

 三浦の球をメーンに受けてきた高城は「回転数が増えている」と好調の要因を挙げた。それがよく表現される「切れ」だ。ことに武器であるカットボールに生きてくる。川村投手コーチは「まっすぐ来て打者の手元で少しだけ曲がる。それを高城は言っているのでしょう。腕がしっかりタテにふれているからです」と説明した。

 継続が力となっている。試合開始5時間前から体を動かし始めたのは体力の衰えを感じ始めた30歳前から。同じ時期から10年以上続けているのがキャンプでの投げ込みだ。今年は1日で自身最多359球を投げた。「ヘロヘロになってから体に染み込むことがある。それがシーズンで助けてくれる」。体のケアだけでなく、心身を追い込む両面を続けてきた結果が23年連続勝利につながった。

 中畑監督も手放しで称賛した。「粘りが大輔の真骨頂だね。あの姿は伝わるんだ。先発投手が我慢すれば、うちは逆転できるということを先発投手は学んでほしい」。試合後「今日の試合は勝つと負けるで大違い。勝ってくれてありがとう」と三浦に感謝の言葉をかけた。これで30勝一番乗りだ。「よく勝ってるね。大したもんだ。驚くくらい。でも積み重ねだよ」。浮かれることなく勝ち続けていく。【矢後洋一】

 ▼DeNAが30勝一番乗り。セ・リーグでは

 62・6・20=51試合 2位

 64・5・31=51試合 2位

 78・6・13=56試合 4位

 15・5・27=50試合 ?位

 (左から年・月・日=到達試合数、最終順位)

と今回で37年ぶり4度目。過去に30勝一番乗りした年の優勝はないが、今回は日付、試合数ともに球団最速。パ・リーグを含め、両リーグを通じての30勝一番乗りは球団史上初。

 ▼DeNAは5月に15勝目(7敗)。DeNAが月間15勝以上は97年8月(20勝)以来18年ぶり。