1回戦で44度目の優勝を決めた早大が慶大に連勝し、勝ち点5の完全優勝を達成した。リーグ戦初先発の13年センバツ優勝左腕、ルーキー小島和哉投手(1年=浦和学院)が7回まで毎回の11三振を奪い、6安打2失点で3勝目を挙げた。早大の完全Vは斎藤佑樹投手(現日本ハム)が2年生だった08年秋以来。

 初先発の1年生左腕が、初体験の早慶戦で奪三振ショーを繰り広げた。センバツで全国制覇を成し遂げた小島でも「優勝は決まっていたけど、甲子園と同じくらい緊張した」という大舞台。2点目を失った7回で降板したが、4回2死からの5連続を含む11三振を奪ってみせた。完全優勝を決める3勝目に「三振は意識していなかった。4年生の野手の方が打ってくれて、投げやすかった」と打線の援護に感謝した。

 慶大のドラフト候補コンビにも臆することはなかった。初回、3番谷田成吾外野手(4年=慶応)への初球でこの日最速の143キロをマークすると、直球で3球三振に仕留めた。2打席目も空振り三振。3打席目は死球を与えたが、生命線の内角攻めを貫いた結果だった。4番の横尾俊建内野手(4年=日大三)も無安打に抑えこんだ。27日に先発を伝え、優勝が懸かる試合になったとしても小島に託していた高橋広監督(60)は「1年生であれだけの投球ができるんだから上等ですよ」とたたえた。

 1年生でただ1人ベンチ入りし、前日の歓喜の瞬間は「誰に飛びついていいかわからなかった」。この日も監督や先輩たちの胴上げを少し離れた位置から見守った。普段は控えめでも、マウンドでは度胸満点。早大で1年春に3勝以上したのは日本ハム斎藤、吉永健太朗(4年=日大三)以来だ。「1年の春から投げさせてもらって幸せ。もっと勝てる投手になりたい」。強心臓のルーキーは、さらなる高みを見据えていた。【鹿野雄太】