第6の助っ人は4拍子そろった逆転Vの使者! BCリーグ・石川から阪神に移籍したネルソン・ペレス外野手(27)が19日、球団事務所で入団会見を行った。単年契約の推定年俸1000万円、背番号は95。走攻守の実力は折り紙付きの左打ち野手は、陽気な性格を生かしたパフォーマンスも約束した。今日20日ウエスタン・リーグ広島戦に左翼で先発し、早速デビューする。

 学校の教室ほどの広さを、報道陣やカメラが埋め尽くした。赤と黒のポロシャツを着たペレスの表情が、会見場に入ると一気に硬くなった。苦労人らしい第一声であいさつだ。

 「タイガースに契約させていただいてうれしく思います。この機会、チャンスを与えていただいたことに関して、神様、タイガースに感謝したい」

 メキシカン・リーグに属した昨年終了後、苦悩の末に日本行きを決めた。「メジャーでやることが目標だったけれど、チャンスに恵まれなかった。そこで独立リーグからチャンスをもらったんだ」。石川では30試合に出場し、7本塁打24打点。打率3割2分4厘を残すと、阪神からのオファーが待っていた。マートンが不振にあえぐなど苦しむ打撃陣の起爆剤として期待がかかる。「転校生」ペレスの鼻息も荒い。

 「彼(マートン)が素晴らしい選手というのは知っている。まずは自分自身がよい選手になれるように頑張りたい。ボールを飛ばす力、走力、守備力とすべてにおいて自信を持っている。その部分を見てもらいたい」

 走攻守の3拍子を熱烈PRすると、少し肩の力が抜けた。会見開始から11分20秒が経過。ペレスは身ぶり手ぶりを交え、素の一面を表に出した。

 「ヒダリ、ミギ、マッスグ。アリガトウゴザイマス。オハヨウゴザイマス。サイコウ、サイゴ。それぐらい話せます」

 数カ月で覚えた日本語を披露し、会見場を和やかムードに急変させた。石川は現在、勝率3割4分5厘でリーグ最下位に低迷。同席した石川の端保(たんぼ)聡代表取締役(48)は「陽気なドミニカン。時には奇声を発したりしながら、暗くなるチームを一生懸命明るくしてくれていました」と明かした。逆転優勝を狙う和田阪神にも必要な要素を持つペレスは、勢いのままに、活躍時のプランまでぶちまけた。

 「ファンの方に喜んでもらえるのであれば、積極的に(日本語を)勉強していって、(お立ち台で)ある程度しゃべれたらと思う。自分はバック転ができる。サヨナラホームランでも打てれば、やってみたいよ」

 1軍デビューはマートンら外国人選手が欠けたチームの緊急事態かもしれない。陽気な救世主はワンチャンスを見据えて牙を研ぐ。【松本航】

 ◆ネルソン・ペレス 1987年11月16日、ドミニカ共和国生まれ。07年からカブス傘下のマイナーなどでプレー。メキシカン・リーグ(3Aに該当)では13、14年に在籍し18本塁打。マイナー通算8シーズンで82本塁打。今季からBCリーグ・石川入り。191センチ、98キロ。右投げ左打ち。

 ◆バック転 86年に広島-西武で行われた日本シリーズ第8戦で西武の秋山幸二は6回に同点2ラン。ホームインの際に豪快なバック転を披露した。90年、91年の日本シリーズでもバック転ホームイン。メジャーでは往年の名遊撃手オジー・スミスが、試合前に華麗なバック転を決めファンを魅了した。球界のマスコットでは阪神トラッキーのバック転が有名。中日ドアラも毎試合チャレンジするが頻繁に失敗するのが名物? になっている。

 ◆オマリーの日本語パフォーマンス 選手として阪神に在籍した91~94年、お立ち台での決めゼリフ「ハンシンファンガ、イチバンヤ!」は流行語にもなった。移籍したヤクルトで95年、オリックスとの日本シリーズを制しMVPとなった際には「ヤクルトファン、スゴイッ!」と絶叫。引退後に阪神球団スタッフとなってからは、阪神電鉄のCMに出演。「コウシエンニ、チュウシャジョウハ、アリマヘン」と、電車での来場を呼び掛けた。