また偉大な先人たちに肩を並べた。西武秋山翔吾外野手(27)が8回の第4打席で左前打を放ち、23試合連続安打をマーク。86年の石毛宏典、99年の松井稼頭央(現楽天)の球団記録に並んだ。2打数無安打で迎えた6回には犠打も決めて一時は勝ち越しとなる1点を演出し、“最終打席”で快挙を決めた。だがチームは今季初めてサヨナラ負けを喫し、首位ソフトバンクに今カードを負け越した。

 最後の最後で、秋山が明日へとヒットを紡いだ。初回は初対戦のバンデンハークに「直球と分かっていても、かすりもしなかった。サファテとも違うスピード感。常時150キロで、それ以上に手元で伸びる」と圧倒された。だが打席を重ねて感覚を調整。8回、151キロの直球を美しく左前へ、はじき返した。この時点ではリードし、最終打席となることが濃厚だった。最後のチャンスで球団記録の23試合連続安打に並んだ。

 個人記録よりも勝利が尊い。大前提を「個人のために野球をやっているわけじゃない。明日、気持ちが切れるわけではない」と踏まえた上で、重厚な歴史をかみしめた。「いろんな先輩に肩を並べたのは光栄です」と言葉を選んだ。

 言葉どおり勝利を追求した。2打数無安打で迎えた3打席目。6回無死一塁で丹念に打球を殺してバントを決めた。浅村の一時は勝ち越しとなる適時打も生まれ、ベンチで二塁走者の炭谷を笑みで出迎えた。6月28日の日本ハム戦で送りバントを失敗したが、任務を遂行した。

 ヒットを日々、刻むのには圧倒的な技術、少しの運、すべての要素が必要になる。秋山には球界の安打製造機が絶賛する技がある。昨年、日本人右打者として史上最高の193安打を記録したヤクルト山田は交流戦で秋山の技量に感嘆した。「理想の打ち方。スイングのすべて(の過程)が体に近い。内角にはバットが内側から出て体に巻きつくインサイドイン。外角には逆に内側から出て外側へと振り抜くインサイドアウトで対応している」。一流が認める技術に昇華した。

 勝利を求め、ヒットを打つ日々は続く。秋山は「これは通過点にしないと。勝つために塁に出たい」と締めた。安打に勝利という付加価値がつかなければ、欲求は満たされない。【広重竜太郎】