日本ハムが機動力を駆使して勝利に結びつけた。オリックス15回戦は、3回に一塁走者の中島卓也内野手(24)が田中の二塁打で一気に生還して先制。5回にも一塁走者の西川遥輝内野手(23)が中島の二塁打で本塁を陥れ、追加点を挙げた。前夜、未遂に終わった大谷のボーンヘッドを反面教師に走塁で大量得点につなげた。負ければ首位ソフトバンクとのゲーム差が今季最大7に広がるところを踏みとどまった。

 走って、走って、大勝を仕留めた。栗山監督が大汗をかき、深く息をついた。完璧にねじ伏せたスパイスになったのは、特長の機動力。珍しく、会心の語り口だった。

 「高いレベルで対応できるランナー。いい形をつくってくれた」

 誇る2人のスプリンターが、競演した。3回2死一塁。リードオフマン中島が、風穴をあける。田中が高いバウンドで、一塁手の頭上を抜く。「いけると思った」と確信した。右前へ転々とする間に、トップギアに入れた。ストップしてもおかしくない打球。三塁を迷わずに蹴り、ホームイン。先制の1点を生み、流れを呼んだ。

 もう1つの見せ場は5回だ。中島を1差で放すリーグトップ21盗塁のスピードスター西川の快足が、はじけた。5回1死一塁。中島の右中間寄りの打球で、疾走した。一気に本塁まで生還。貴重な追加点を演出した。「めっちゃ走らされました」。試合の大勢を決定付ける、この回一挙6点の猛攻に火をつけた。

 衝撃的な一夜から明け、対照的な好走連発の快勝が生まれた。単打でもおかしくない2二塁打で、一塁走者が本塁まで陥れた。オリックス右翼手の谷の守備力を的確に判断し、全力疾走を敢行。スキを突くため、足を緩めない忠実な意識も伏線だった。

 前夜の同戦。襟を正す珍プレーがあった。代打出場の大谷が敬遠四球で一塁へ到達する前に、1度はベンチへ。気付いて一塁へと戻り、四球が認められて事なきを得たがボーンヘッド未遂。栗山監督は、厳しくチーム全体を律するように訴えていた。

 「あれ『大バカヤロー』を超えてるよね。(ベンチへ)帰ってくるのが、早いなと思っていたら。(野球選手が)感覚的に向こう(一塁)へ行かないで(プレーが)終わるというのは、裸で家を出るようなもん。いや、違うか。1週間、ご飯を食べないみたいなもんかな」

 反面教師にすべき1シーンを、修正した。栗山監督は、今季のチームカラーをあらためて確認していた。「スピードと(多彩な)中継ぎ。特長を生かすしかない」。ゲーム差6は変わらなかったが、首位ソフトバンクを追走が使命。背中を確実に捉えるまで、歩みを止めずに立ち向かう。【高山通史】