投手部門3冠が見えてきた。巨人マイルズ・マイコラス投手(26)がDeNAを4安打1失点で今季3度目の完投勝利をマークし、規定投球回数に到達した。9勝はリーグトップタイ、勝率7割5分はトップ、防御率は1・98で、菅野に次ぐ2位と各部門で上位に急浮上。96年ガルベス以来となる新外国人の7連勝でチームの連敗も4で止めたが、「特に意識していないよ」と冷静だった。

 土壇場の大ピンチも、クールに乗り切った。9回1死三塁、代打井手に外角直球で3球勝負を挑んだ。「切り抜けるために全部出そうと思った。三振を取りに行ったよ」と狙い通りに見逃し三振に仕留めた。それでも派手なアクションはなし。チームのため、全力を出すことに集中していた。

 好調の要因を「信念に基づいて同じことを続けること」と言う。米国でのリトルリーグ時代、コーチに「走ることが大事」と教わった。「楽しんで走るようにしている。フライングディスクを追いかけ回す犬のイメージだね」。投手練習後外野で打撃練習の球拾いで走り回る。日本に順応すべく、努力を重ねた。遠征先ではホテルから出て観光もせず、調整に専念。ジャイアンツ球場では蒸し暑い室内練習場で打撃練習を率先して行っていた。

 満足はしていない。5回、ロペスに1発を食らうと「失投した怒りがあった」とベンチで壁をたたいた。「毎回新たに気付くことがある。次までに克服したい」。一花咲かせてメジャーへと思っていた日本に、少しでも長くいたいと思うようになった。「通過点になればいいね」。ウイニングボールは迷わずスタンドに投げ入れた。【浜本卓也】

 ▼マイコラスが9勝目を挙げ、チームの連敗を4で止めた。巨人の4連敗以上は今季6度あるが、そのうちマイコラスが連敗を止めたのは6月20日中日戦、7月20日阪神戦に次いで3度目。最近は3度続けてマイコラスが4連敗を止めている。これでマイコラスは6月20日中日戦から7連勝。巨人の外国人投手で7連勝以上は、96年ガルベス7連勝、05年シコースキー7連勝、09年ゴンザレス9連勝に次いで4人目。来日1年目では96年ガルベスに並び最長となった。