巨人が2日に及んだ死闘を制した。雨天により2度、計1時間26分もの中断もあり試合は長引いた。午前0時を過ぎた延長11回表2死満塁、小林誠司捕手(26)が中前適時打を放ち、勝ち越した。阿部慎之助内野手(36)は、巨人では長嶋茂雄氏以来2人目の快挙となるプロ入りから15年連続の2ケタ本塁打。8回には同点適時打を放つなど4番として打線を引っ張った。4連勝で、首位阪神を0・5ゲーム差で追いかける。

 注がれたのは、拍手と声だけだった。日付が変わった午前0時過ぎ。延長11回表2死満塁で、小林が勝負を決める適時打を放った。殊勲の一打を放ったヒーローは、降雨の影響で2度、計1時間26分中断された中、6時間を超える熱戦を見届けたファンに向け、心から感謝の気持ちを込めた。

 小林 こんな時間までたくさんの方が残ってくれた。雨の中、最後まで応援してくださったみなさんの力をもらった。

 超ロングゲームの幕開けは、阿部のメモリアル弾だった。1回2死二塁、先制の10号2ランを放った。プロ入りから、15年連続となる2ケタ本塁打は、球団では長嶋茂雄以来2人目の快挙。自らのバットで刻み続けた軌跡を浮かべながら、重みをかみしめた。「いろいろなことがある中で相手のエースから打つことができて良かった」。

 徳俵から、チームを踏ん張らせたのも阿部の一打だった。1点ビハインドの8回2死二塁、大瀬良から同点の適時二塁打を放った。中堅フェンス最上部直撃の一打は、一瞬スタンドインかと思わせる特大二塁打。ビデオ判定する中、午後9時7分から雨が強まった。30分後、再開されたが、敗戦の危機に襲われたのはその裏だった。

 8回1死一塁、マウンドにはマシソンだった。2ボール後、同9時48分から雨が強まり再び中断となった。そのままコールドゲームなら、8回が成立していないため阿部の同点打が幻となる。シートが敷かれ、ベンチから心配そうに選手が再開に備えた。坂本、井端のコンビ、阿部、高橋由のコンビがキャッチボールで試合再開を促した。同10時44分、審判のコールにベンチから歓声が上がった。

 燃え続けたのは、勝利への執念だった。延長10回2死一、二塁のピンチでは、左前打に左翼の鈴木が猛チャージ。間一髪のタイミングでサヨナラ負けを阻止した。延長10回からは沢村が2回を無失点。ピンチを背負っても、得点は許さなかった。

 試合後、選手たちは全てを出し切った表情でバスに乗り込んだ。「長かったね。みんな頑張った」と阿部。原監督は「日をまたいだ記憶はないです。長いとはいえ、1時間30分くらいに感じたね。いろいろな方に感謝しなくてはいけないです」と締めた。【久保賢吾】

 ▼広島-巨人戦は1時間26分の降雨中断があり、試合終了が22日の午前0時21分(試合時間は中断を除くため、4時間55分)。2日がかりの試合は13年9月4日ソフトバンク-日本ハム戦以来13度目となり、終了時刻は92年9月11日阪神-ヤクルト戦の午前0時26分に次いで史上2番目に遅かった。巨人が2日がかりの試合を戦うのは04年8月20日広島戦以来3度目だが、過去2度はいずれも敗戦。球団史上初めて2日がかりの試合に勝利した。