中日大野雄大投手(26)が自身最多、リーグ単独トップの11勝目を挙げた。4回に先制2ランを浴びるも、我慢の投球で7回2失点。6回には女房役杉山の勝ち越し打で勝利投手になった。チームは今季初の敵地同一カード3連勝。今日28日からは4・5ゲーム差と迫った3位巨人(東京ドーム)と3連戦に臨む。さあ、CS進出圏内へ一気に接近だ。

 セ界単独トップに立ったはずの大野に笑顔はなかった。「今日は野手のみなさんのおかげ。勝ちを付けてもらったと思っている。最低限のことが出来ていないので次回はピシッと行きたい」。いつもの明るさはなく、反省ばかりが口をついた。

 我慢のマウンドだった。先に失点したのはDeNAのルーキー石田ではなく大野だった。4回に警戒していた4番筒香を四球で歩かせると、5番ロペスに変化球を左翼スタンドまで一直線で運ばれた。並の投手ならここで崩れるところだが、ここから「この2点という気持ちで切り替えることができた」。6回には女房役杉山の勝ち越し打が飛び出し、7回2失点と踏ん張った。

 白星を手にした左腕は、素直に野手に感謝した。10勝に王手をかけて5度も足踏みしていた男が、すんなり2連勝。今季初登板となった横浜スタジアムではこれで、通算6戦5勝、防御率1・98と相性抜群。ハマスタの風が幸運を運んでくれたかもしれない。シーズンも終盤に入り自身初のタイトルも射程圏だ。

 「弟分」の活躍がうれしくてたまらない。前日26日はオフに自主トレをともにする2学年下の小熊が先発初勝利を挙げた。チームも4カード連続の勝ち越しを決めて、2カ月ぶりに最下位から脱出。「ナイスピッチングだったんでね。力になりました」。この日の試合前のストレッチではわざわざ後輩を呼び寄せてマッサージをリクエスト。「勝ち運」をつけてもらった。

 チームは今季初の敵地同一カード3連勝。昨季20敗を喫した8月だが、13勝9敗と勝ち越しが決定。最近11試合で10勝1敗と勝ちまくり、進撃は勢いを増している。谷繁兼任監督は「また明日から頑張ります」といつものフレーズで会見を締めた。今日28日からは4・5ゲーム差の3位巨人との3連戦。ぼんやりとしていた目標がくっきりしてきた。【桝井聡】