出てこい、トリプルスリー! 楽天は13日、コボスタ宮城で池山隆寛1軍打撃コーチ(49)と与田剛1軍投手コーチ(49)の就任会見を行った。池山コーチは教え子であるヤクルト山田のように走攻守そろった選手の発掘を掲げ、与田コーチは守護神・松井裕の先発転向の可能性を示唆。両コーチの指導が2年連続最下位からの起爆剤となる。同席した星野仙一副会長(68)も両コーチの育成手腕に期待した。

 池山1軍打撃コーチはまぶしいほどのライトを浴びて力強く、言い切った。「どうしても力を貸してくれと言われた。強い楽天を取り戻したい」。楽天には野村政権で球団初のCS進出を果たした09年以来の復帰。古巣再建への思いを星野副会長から託され、強い覚悟をにじませた。

 目指すは「第2の山田」の発掘だ。今季チームは打率、安打数、得点、本塁打数と軒並みリーグ最下位に沈んだ。打撃不振からの脱却に向け、掲げたのは走攻守そろった選手の育成。トリプルスリーを達成したヤクルト山田になぞらえ「そういう(山田)選手が出ないことにはチーム力は上がらない。そういう(3割30本30盗塁)目標が持てる選手が1人でも2人でも出てくるようにするのが我々の仕事」と意気込んだ。

 スター候補は今ドラフトでの1位指名を明言している仙台育英・平沢大河内野手(3年)だ。高校日本代表に選出され、勝負強い打撃と守備力の高さを披露。今夏の甲子園では3本塁打と強いパンチ力を見せた。「ドラフトでいい選手を取るから、育てろと星野さんから命令されている。力を添えられるようにしたい。(平沢という)名前は言われていないけど、試合に出しながら、経験させながらになる」。獲得の際には将来の主力として1年目から英才教育を行う見込みだ。

 また得点力不足解消に向けて、本塁打増加も明言した。今季は2軍戦で楽天と対戦しており、中川や内田の和製大砲候補に注目。「ボールを飛ばす指導は自分なりに誇れるところ。自信を持って選手作りをやっていきたい。パワーはあるのに力を出せていない。良い素材はたくさんいる」と、第2の“ブンブン丸”育成にも力を注ぐ。

 目標を問われ「目指すは日本一。星野さんに怒鳴られないようにやっていきたい」。熱い指導で梨田新監督、そして星野副会長も男にする。【島根純】

 ◆池山隆寛(いけやま・たかひろ)1965年(昭40)12月17日生まれ。兵庫県出身。市尼崎から83年ドラフト2位でヤクルト入団。フルスイングから「ブンブン丸」の愛称で親しまれた内野手。02年引退。通算304本塁打、898打点、打率2割6分2厘。06~09年楽天、11年からヤクルトコーチ。右投げ右打ち。