「相性」の概念を捨てろ! 阪神香田勲男投手コーチ(50)が11月30日、兵庫・西宮市内で「タイガース杯ゴルフ」に参加し、来季に向けて先発投手陣に「苦手禁止令」を出した。今季は相性を重視して柔軟に登板日を変更してきたが、苦手チームをなくすことで各投手ともに一定の登板間隔を保つ狙い。不動ローテでV奪回や!

 大黒柱藤浪は巨人にぶつけ、能見は徹底して広島に投げさせる。メッセンジャーはマツダスタジアムを回避させ、岩田は得意のヤクルトに回そう-。今季目立った「相性重視ローテ」、「G倒優先ローテ」からのイメージチェンジだ。16年、香田投手コーチは「不動ローテ」にこだわる。

 「同じリズムでローテを守るのが理想。後半になれば中4日で行くかもしれないけど、最初はリズム重視がいいんじゃないかな。総合的には巨人も強いだろうけど、どのチームが相手でも勝ちは勝ちだから。苦手を克服してローテ通り進むのが理想になる」

 15年は得意な相手を優先し、苦手なマウンドを避ける傾向が顕著だった。分かりやすい例で言えばメッセンジャーと能見だ。メッセンジャーは前半戦だけで広島戦に3戦3敗、防御率5・82と苦しみ、後半戦は広島戦登板ゼロ。苦手なマツダスタジアム、神宮球場では1年間で1度もマウンドに立たなかった。能見は27試合登板(先発は25試合)のうち、好相性の広島相手が9試合(先発は8試合)もあった。柔軟なローテ組み替えは白星の確率を上昇させる一方で、登板間隔が不安定になるデメリットもあった。

 「ここが苦手と言うなら、じゃあ何故苦手なのか。その球場に何かしらの理由があるのか。ローテを飛ばすとか外すとかじゃなく、正面から向き合ってどうしたらいいか考えないと。スコアラーと話して、本人にも聞いてみてね。相性がすごくいい人の意見が、他の人の苦手克服のヒントになるかもしれないしね」

 数字だけを見れば、藤浪は今季ヤクルト、DeNA、中日の3チーム相手に計10勝0敗と圧倒的な成績を残し、東京ドームで4戦4敗と苦しんだ。岩田はヤクルト戦に3勝1敗、巨人&広島には計0勝7敗。だからといって、負のデータが並ぶ相手、舞台を避けていては個人の成長、チームの底上げにはつながらない。

 「(相性が悪いからこそ)自分に行かせてくれ、となってほしいね」

 4本柱の各々が相性を取っ払えば、一定の登板間隔を保った「不動ローテ」を安定させられる。敵に惑わず、V奪回ロードをどっしり進む。【佐井陽介】

 ◆虎の16年先発事情 金本監督はすでに藤浪、メッセンジャー、能見、岩田が順調に行けばローテ当確であることを明言。さらに首脳陣は藤川を先発として計算しており、残り1枠を巡って激しい競争が行われそうだ。6番手有力候補は2年連続でローテを経験している岩崎。中継ぎから先発転向の可能性がある島本に加え、岩貞、岩本、秋山、横山らも座を狙う。