地獄の練習漬け! 阪神は7日、兵庫・西宮市内のホテルで合同スタッフ会議を行い、金本知憲監督(47)が2月の沖縄・宜野座キャンプの方針を示した。ビジターの対外試合を減らし、紅白戦を増やすことが判明。宜野座で腰を据え、移動時間のムダもなくす考えだ。若手にとってはサバイバル。シーズンを戦う体力をつけるべく、妥協なき1カ月間を過ごす。

 車窓から沖縄ののどかな光景を見ているヒマなどない。バスに揺られる1分1秒すら削り出す。金本監督率いる阪神は2月のキャンプで宜野座から離れない。年が明け、この日は初めてコーチ陣が一堂に会した。会議でキャンプの方針を確認し、指揮官は言い切る。

 「開幕に合わせるキャンプじゃなく、鍛えるキャンプ。実戦感覚とか、基礎を鍛えるキャンプになる」

 キャンプメンバーの振り分けは1月下旬まで練習状況を見て判断するが、スケジュールには「金本色」が鮮明に表れていた。これまで沖縄キャンプ期間中は対外試合を多く組み、バス移動に1時間以上を費やすこともあった。昨季も名護、浦添、宜野湾、北谷に遠征した。今年は違う。ビジター戦に出向くのは2月21日のオープン戦ヤクルト戦(浦添)だけになりそうだ。

 この代案こそが、真骨頂だ。金本監督は言う。「紅白戦は多くなる。終わってからとか(試合の)前後もしっかり練習できる」。身内だけにイニング数は自在になり、投手の登板も融通が利く。野手もみっちり攻守に専念できる。その一方で、若手にとっては試練だろう。「実戦が少なくなるのは間違いない。若手はテスト。数が例年より少なくなるし、そのなかで結果を出してもらわないと」。わずかなチャンスを生かせるか。若虎にとって実力、勝負運を試される狭き門だ。

 将は現役時代を思い起こして言う。「(キャンプ地を)移動するより楽よ。沖縄での1カ月。俺は楽だったよ。(腰を)据えて調整できる」。まさに練習の鬼と化し、1年間を戦うエネルギーを蓄えていた。

 今春キャンプは1クール4日間のうち、2日間を特打特守など個人の技術練習ではなく、筋力トレーニングにあてる方針だ。流した汗はウソをつかない。練習、そして実戦。勝負の鉄則を、まずは南国で貫く。【酒井俊作】