中日岩瀬仁紀投手(41)が新球で勝負をかける。18日、鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で自主トレを公開した。8~9割の力で投げた約50球のブルペン投球の中で、昨秋からひそかに準備してきたシンカー系の新球を試した。

 ふわっと浮き上がるようにブレーキがかかり、左打者の足元に落ちていく。山本昌広氏の代名詞スクリューのような軌道を描いた。「スクリューなのかは分からないけど、落ちる球はずっと求めていたもの。元々持っていた球に落ちる球が1つ加わったら。使っていきます。使わないと勝負にならないので」と、すでに計算していることを明かした。

 これまでは間断の勤続疲労の濃いシーズンが続き、新球挑戦は難しかった。だが昨年は春先に再発させた左肘痛の影響で1年間登板なし。けがの功名で、今オフは新しい取り組みができるようになった。

 まずは投げ方を“変えた”ことが大きい。腕を振り上げる際に肩甲骨を意識して、肩肘に負担をかけない投法を昨秋から同施設で研究。それをものにしたことで特有のスライダー回転がなくなった。直球のスピンが増し、同時にこれまで投げられなかったシンカーのような抜く球も可能になったという。

 直球とスライダーが軸だった投球パターンは大きく様変わりする。「ここまでは順調すぎるくらい順調。これだけ強く投げても反動が出ない」。キャンプは直訴しての1軍スタート。通算402セーブの伝説的ストッパーがこれ以上ない手応えを携えて沖縄に乗り込む。【柏原誠】

 ◆岩瀬は2月の北谷キャンプ中に実戦登板することを宣言した。「去年、全くやってないので投げていくと思います」。例年、3月上旬のナゴヤドームでのオープン戦初戦の先発が恒例だったため、沖縄で実戦に投げれば04年以来12年ぶりになる。新球を含め各球種で打者の反応を確かめることと、首脳陣に健在をアピールすることが求められる。