日本ハム大谷翔平投手(21)が、来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に「二刀流」で出場する意向を持っていることが17日、分かった。プロ入り後の国際大会出場は投手のみに限定されてきたが、球団側も容認して解禁する見込み。プロ4年目のキャンプでは、野手の実戦調整で12打数6安打と進境著しく、両面の才能が本格化の兆し。3月に強化試合を行う侍ジャパン入りは辞退も、今季は爆発的な結果を残し、野望をかなえる道筋を作る。

 目指すと決めたパイオニアらしい大きな夢を、抱いていた。大谷が、侍ジャパンでも「二刀流」で貢献したい意向があることが明らかになった。14年の日米野球、昨年のプレミア12は投手で選出されたが、野望はスケールアップ。来年3月の第4回WBCでは野手としても、戦力になりたいと強く希望。周囲の関係者の話を総合すると今季、投打で圧倒的な実績を残すことで、双方の評価で日の丸を背負うことを狙うという。

 日本代表への強い思いが、個性を生かした規格外の目標設定につながった。WBC出場をプロでのライフワークの1つに設定。第1回大会から連覇し、13年の第3回は準決勝敗退したシーンは、今も胸に刻む。世界一奪還を目指す次回は、自身は投手としては主力格の候補の1人だが、プロ入りから継続している「二刀流」を極め、世界舞台でも実践したいと熱望。昨季まで3年間、行ったことで少し手応えも得たようだ。

 実現はしなかったが水面下で、既に画策していた。投手として選出される予定だった侍ジャパンの強化試合、3月5、6日の台湾戦(ナゴヤドーム、京セラドーム大阪)の出場を辞退。投手としての登板を確約できなかったためだが、小久保監督らには野手としては出場可能であると申し入れはしたという。侍ジャパン側は最終的に見送ったが、WBCで「二刀流」に挑戦するための下準備をする心意気は見せていた。小久保ジャパンの前例のない、秘密兵器になるための意欲の象徴だった。

 これまで国際試合では凍結してきた球団側も「二刀流」で3年を経たが、故障もなく順調で機は熟したと判断した。大谷はこの日、米アリゾナ州でのキャンプから帰国して2次キャンプ地の沖縄・名護入り。ランニング、キャッチボールなど軽めのメニューで体をほぐした。「課題をしっかり消化しながらいければ。自分のペースでできればいい」。現地での野手での実戦4試合で計12打数6安打と昨季は不本意だった打撃面で、手応えもつかんだ。今日18日には小久保監督もキャンプ視察。勝負の1年で覚醒させる「二刀流」で、世界一の夢を狙う。

 ◆14年日米野球 日本代表の小久保監督は9月のコーチ会議終了後、「私は基本的には二刀流賛成派」と話していたが、二刀流運用のシミュレーションを日本ハム側と意見調整し、10月のメンバー発表前に打者での起用見送りを決定。大谷は「投手専念」で初選出された。11月の第1戦(京セラドーム大阪)に3番手で登板し1回無失点。第5戦(札幌ドーム)では先発し、4回6安打2失点(自責0)だった。

 ◆15年プレミア12 シーズン打率2割程度と打撃不振だったため、9月の1次登録選手の発表時点で、大谷は投手起用の方針が固まっていた。大谷も大会前「今年の成績で(打席に)立てるとは思っていない。投手として選ばれているので」と発言。11月の1次リーグ韓国戦(札幌ドーム)で6回2安打無失点、準決勝の韓国戦でも7回1安打無失点と圧巻の内容だった。

 ◆侍ジャパンのメンバー選考 15日に昨秋のプレミア12に出場したメンバーを中心に26選手を発表。しかし、強化試合がシーズン開幕(3月25日)を控えた時期(3月5、6日)だけに、大谷(日本ハム)藤浪(阪神)則本、松井裕(楽天)田中(創価大)ら、調整が難しくなる投手に事実上の「辞退」が相次いだ。また、梶谷(DeNA)も脇腹痛のため19日から2軍調整となり、辞退する見込み。今後、追加招集される予定。