横浜が王者復活へ大きな1勝を挙げた。9-4で撃破した慶応には、昨夏の県大会決勝で逆転負け。微妙な判定が決勝点につながりナインは涙した。“リベンジ戦”の最後を締めたのは「スーパー1年生」の1人、背番号16の織田翔希投手(1年)。DeNA筒香、度会らOBが球界の話題を集める中、後輩たちも高校野球界を盛り上げる。

徹夜組も出た大型連休の一戦を、名門横浜のスーパー1年生が事もなげに締めた。福岡出身の183センチ右腕織田が、点差を詰められた9回1死に登板。代打足立を直球で空振り三振にすると、1番酒井は140キロで追い込み、110キロ台のチェンジアップで見逃し三振。村田浩明監督(37)が「楽しかった?」と聞くと「はい」と、これまた事もなげに返事した。

織田は大舞台での心境を「精いっぱいの球を投げて去年の先輩たちの借りを返すというか」とした。緊張…といった初々しい言葉ではなく、生々しく言った。送り出した村田監督も、この慶応戦に並々ならぬ決意を持っていた。「今日負けたら、相当重たくなったと思います」。名門再建を託された身として、連敗は許されなかった。

だからこそ、高校野球関係者の間で「全国トップクラス」とも言われる1年生の抜てきに意味があった。村田監督は言う。

「1年生が去年の夏を見て『俺らが絶対やってやる』って思いで入学してきてくれたと思うんです。今日は持ってこいの場面。あれだけ堂々と投げられて。彼らは入学して、横浜高校の名を背負っていく。3年生も2年生もそれを見てさらに奮起していく。やっぱり本番は夏なので」

織田は投手として松坂大輔氏に憧れ、筒香や度会らOBの活躍も「どうやったらああなれるか考えながら練習しています」とライバルたちと競い合う。DNAをつなぐ1勝。強い横高に戻る。【金子真仁】

◆横浜-慶応 昨夏の神奈川大会決勝で対戦。5-3で横浜リードの9回無死一塁。慶応・丸田の二塁へのゴロで併殺かと思われたが、遊撃緒方が二塁ベースを踏んでいないとの判定でオールセーフに。直後に逆転3ランが出て、慶応が6-5で勝利し優勝。その後の甲子園でも初優勝した。