衝撃の「プロ1号」だ。阪神ドラフト1位の高山俊外野手(22=明大)が28日、紅白戦でランニング本塁打を放った。1軍昇格後、実戦3試合目での予想外の“1発”に、思わず白い歯がこぼれた。

 「ホームランを打ちましたという感じじゃないんですけど、どういう形にしろ結果が出たのはうれしい」

 小学校6年生以来というランニング本塁打は、6回2死一、二塁で生まれた。二神の高め直球をセンターにはじき返した。左中間寄りだった中堅横田が捕球できず、痛烈なライナー性の打球はセンター最深部へ転がっていった。

 その一打も強烈だったが、さらにインパクトを深めたのは、高山の足だった。50メートル5秒8の俊足を飛ばすと、カットプレーが内野まで到達する前に悠々と本塁を駆け抜けた。三塁コーチを務めた高代ヘッドコーチが、その速さに「迷わずゴーやけど、ええ足しとんな」と思わずうなった。

 東京6大学リーグで最多安打記録を作った打撃ばかり注目されがちだが、実は走塁技術も一級品。恩師である明大・善波達也監督(53)も「無駄のない、いいフォームで走っているからトップスピードにも乗りやすいんだと思います」と分析。七林中(千葉)時代には陸上部に所属し、200メートルで県大会4位の成績を残すなど、理想的な打撃フォームだけでなく、走るフォームもトップレベルにあるのだ。

 「1軍で活躍するためにはエース級のピッチャーを打っていかないといけない。打てるようにがんばりたいです」

 プロ入り初の長打、本塁打で結果を残したが、2回2死での藤浪との対決で凡退したシーンを反省。開幕スタメンを勝ち取るまで、一気に突っ走るつもりだ。【梶本長之】