新守護神任せてよ! 阪神の新外国人マルコス・マテオ投手(31=パドレス)が3日、ソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクドーム)の9回に登板し、1回を無安打無失点に抑えた。直球は最速151キロを計測。武器である鬼スライダーで空振り三振を奪うなど、テンポよく13球で3人斬りだ。新ストッパー問題、もうちょっと待てよ、なんて言わせない。

 オレがストッパーだ! 虎ファンが歓喜しそうな投球だった。守護神候補が堂々の投球だ。9回からマウンドに上がったマテオがソフトバンク打線を3者凡退に抑えた。先頭の右打者江川を横滑りするような「鬼スライダー」で空振り三振を奪うと、続く福田はこの日最速の151キロ直球で中飛。最後は金子圭を一ゴロに仕留め、わずか13球でミッション完了だ。

 マテオ 全然問題なく投げることが出来たよ。(気温は)シカゴの方がよっぽど寒いさ。

 対応力の高さを見せつけた。初めて立つマウンド。しかも、母国ドミニカ共和国やメジャーでは少ないドーム球場でのオープン戦初見参だった。気温はキャンプ地の沖縄から10度以上も低いが、そんな環境にも問題なしを強調。この男なら9回を任せられる。そんな空気を自ら作った。

 沖縄でブルペンをひと目見た金本監督は「右(打者は)ノーチャンス」と評した。背中から食い込んでくるような角度あるスライダーは右打者にとって脅威になると打者目線でイメージした。大魔神・佐々木(日刊スポーツ評論家)のフォークに、高津のシンカー、岩瀬のスライダー…。球史に名を残す守護神が決め球を持っていたように、マテオにはスライダーがある。

 沖縄滞在の1カ月間でチームにもすっかり溶け込んだ。一見すると話しかけにくい、いかつい風貌だが、実はおちゃめ。投手のノック練習では、英語ともスペイン語とも言えない甲高い声で奇声を上げ、チームメートを笑わせる。キャンプを振り返り「今までこんなに練習したことない」と苦笑いだったが、練習態度はいたってまじめだった。

 普段から陽気なドミニカンを「マテちゃん、マテちゃん」と親しみを込めて呼ぶ香田投手コーチは試合後に目を細めた。「左バッターでも外からのスライダーでカウントを取れる。明日は連投? そう焦るなよ」。こんな快投をみせられれば、香田コーチじゃなくても笑顔になる。2年連続セーブ王に君臨した呉昇桓が抜け、ぽっかり空いた大きな穴。マテオなら埋めてくれる-。博多の夜に、期待がまだ膨らんだ。【桝井聡】

 ◆マルコス・マテオ 1984年4月18日、ドミニカ共和国生まれ。04年レッズと契約。カブス傘下に移籍し10年にメジャーデビュー。13年はカブスで藤川とチームメートに。メジャー通算70試合、2勝4敗0セーブ、防御率4・65。3A通算95試合、7勝4敗14セーブ、防御率3・70。188センチ、107キロ。右投げ右打ち。推定年俸7500万円。背番号38。

<マテオのこれまで>

 ◆2月3日 初のブルペン投球。スライダーを封印し、直球44球中ストライク35球。安定した制球に他球団スコアラーも驚嘆。

 ◆6日 2度目のブルペンで、2種類のスライダーを含む37球。低めに集め「スライダーは小さい曲がりと、大きな曲がりがある」と器用さをアピール。

 ◆14日 紅白戦に初登板。新井をスライダーで空振り三振にとるなど1回1安打無失点。金本監督も「あのスライダーは見たことがない」と舌を巻いた。

 ◆22日 クイック投法に金村投手コーチから注文がついた。「ちゃんと静止するように」と言われ、微調整に着手。

 ◆27日 サムスンとの練習試合(宜野座)で、左3人をピシャリ。スライダーが有効だった。

 ◆3月2日 甲子園での新リリーフカーお披露目会に参加。座り心地を気に入り「これ1台買おうと思います。いくらだい?」とジョークを飛ばした。