DeNAドラフト1位今永昇太投手(22=駒大)が、ホーム開幕戦となる29日の巨人戦(横浜)でプロ初先発することが14日、公表された。横浜市内で行われたセ・リーグの「ファンミーティング」の壇上、アレックス・ラミレス監督(41)が明言した。実戦登板で無失点を続け、評価がうなぎ上りのルーキー左腕に大役を託す。

 ラミレス監督が「イマナガ…ジャイアンツ…」とキーワードを出した。ざわつきがやまないうちに「今永には10勝はしてもらいたい。初めて会ったときから、『ジャイアンツの初戦に投げられるか』とみていた。横浜の開幕、1戦目に当てる」と、踏み込んだ通訳が入った。新監督がドラフトの指名あいさつから温めていた腹案。どよめきが歓声と拍手に変わり、DeNAのドラ1はファンミーティングの主役をさらった。

 本人も知らなかった。「壇上で…。こんな発言いいの? と。まだ、うそかもしれない。正直、実感がありません」と初々しかった。ただ、キャンプから無失点を続けるこの本格左腕はしたたかだった。「緊張はする。引き締めないと」としつつ、巨人を封じる具体的な絵を早くも描いた。

 今永 長野さん、坂本さん。右バッターが鍵になってくる。抑える、というよりはどのボールを、どこに投げるか。スイングをさせないように。無走者のシングルヒットはいい。主力にバッティングをさせないことが、勝ちにつながる。

 6連戦の頭を任せられる。「2、3戦目をしっかり考えなくては。インコースを攻める必要がある」と、火曜日に先発する重要性もよく分かっていた。球速と球威が両立したクロスファイア。名刺代わりに差し込んで先輩にバトンを渡す。

 アピールはもういい。1ランク上のオープン戦登板にする。明日16日の中日戦に向け「結果に重点を置いていい。投げ損じても抑えること。ゼロなら負けない。四球を3つ出してもゼロであればいい。守備のリズムは意識して」と言った。「正しい人選。彼がつかんだ。信じている」と言うラミレス監督はもちろん、真っ青に染まるDeNA党をうならせるデビューを果たす。【宮下敬至】

 ◆ドラフト制後、開幕直後(10試合以下)の巨人戦で先発デビューした新人は過去8人いる。最近は13年井納(DeNA)が開幕5試合目の巨人戦で先発デビューし、5失点で敗戦投手になった。82年宮本(ヤクルト)96年舩木(阪神)08年加藤(ヤクルト)は開幕カードだったが、今永の先発予定は「巨人1回戦」。ドラフト制後、チームのシーズン巨人戦初戦で先発デビューの新人はまだいない。

 ◆横浜の開幕ローテ 開幕カードの広島戦は右腕3枚で臨む。開幕投手は山口で決定済み。井納、モスコーソ、新外国人ペトリックの3右腕いずれかが続く。巨人戦は今永-久保康-石田とつなげば左右ジグザグで編成でき、相手にとってはやっかい。ラミレス監督が掲げる「開幕からの10試合で6勝」という目標も現実味を帯びてくる。