横田さんが横田さまになるかも? 高卒3年目で成長著しい阪神横田慎太郎外野手(20)が、オープン戦の打率を4割に乗せた。ヤクルトの開幕を任されている小川泰弘投手(25)にもひるまず、俊足を生かした内野安打2本をマークした。1軍経験のない若手がオープン戦打率ランキングで2位タイに浮上。開幕1軍入りどころか、中堅レギュラーまでつかみ取りそうな勢いだ。

 横田の勝負は早い。初球がストライクゾーンに来れば手を出す。初めて2番でスタメン起用されたこの日も見せた。1回無死二塁。ヤクルト小川の初球をたたくと打球は二遊間へ。遊撃西浦が処理したが、送球よりも早く一塁を駆け抜けた。5回にはボールを見極め、カウント2-2から内角真っすぐを打って二塁への内野安打。次打者ヘイグの2球目にスタートを切り、猛然と二塁へ滑る。捕手のミスも誘って三塁へ。チームトップのオープン戦5盗塁目で攻めた。

 「小川さんはいいボールを投げる投手。初球からいこうと思っていました。基本、初球からいこうと決めてやっています。ボール球なら見逃しますけど」

 これでオープン戦40打数16安打で打率はジャスト4割。12球団の規定打席到達者の中で2位タイ、セ・リーグではトップに立った。16安打のうち内野安打が7本とほぼ半分。金本監督もほめるスピードを生かして出塁を重ねている。

 「足で稼いでいるところはあると思います。盗塁もできているし、そこはいいと思っています。継続していきたいです」

 入団以来、注目されていたのは遠くへ飛ばせる能力。しかし過去2年、ファームで打棒爆発するまでには至らず、今季に勝負をかける。まずは結果。その気持ちが形になっている。

 「半分ぐらいが内野安打でしょ? いい意味で特徴になっている。長い目で見るともっと大きく育ってほしいけど、今は、それで。結果が出てるから。それで全然いい」。未来の長距離打者として期待する金本監督も称賛した。

 「2番」での出場で魅力を発揮した。無死一塁の場面で打って出ても、この俊足なら併殺も減る計算が立つ。「2番はあり得ると思う。ちょくちょく」と金本監督もスタメン起用を連想させる言葉を続けた。

 阪神選手でオープン戦首位打者となれば、チームが最後に優勝した05年赤星以来。「吉兆」を届ければ、横田は開幕スタメンに接近する。【高原寿夫】

<横田慎太郎(よこた・しんたろう)アラカルト>

 ◆生まれ 1995年(平7)6月9日、鹿児島県生まれ。鹿児島実から13年ドラフト2位で阪神入団。高校通算29本塁打。1軍経験はなく、昨季はウエスタン・リーグで103試合、打率2割1分3厘、9本塁打。

 ◆呼び名 2月キャンプの対外試合で結果を残し、金本監督が「打てるような形には見えない。予想外に実戦向きなのか、たまたまなのか。不思議」。監督評はその後「漫画の主人公に出てきそうなタイプ」「横田くんから横田さんになった」と格を上げてきた。

 ◆トリプルスリー級 入団当初から指導していた掛布2軍監督が「糸井、柳田のトリプルスリータイプ」とほれ込む逸材。

 ◆天然 昨年の台湾ウインターリーグ派遣前、記者陣に海外の生水に注意するよう言われ「大丈夫です。腹筋しているんで」

 ◆家族 父真之さんは元ロッテ外野手。