初物になめられてたまるか!? 阪神が10点を奪って巨人に大勝した。1軍デビューの20歳右腕・平良拳太郎投手に4者連続三振を喫した序盤から一転、4回一気にKOした。口火を切ったのは4番福留孝介外野手(38)の2号先制2ラン。直前の守備でも、平良をライトゴロに仕留めた。今季初の巨人3連戦は2勝1敗。首位巨人に0・5ゲーム差に迫った。

 日米18年目の存在感が際立っていた。1軍デビューの平良相手に序盤は打ちあぐねる。悪循環を断ったのは福留だった。4回1死一塁。甘く浮くカットボールを見逃さない。ひと振りで流れを引き寄せた。先制2号2ランを「手応えは良かったよ。テンポ良く、最初のイニングから投げられていた。その中で、甘い球を1発で仕留められて良かった。あれで流れが来て良かった」と振り返った。

 打線は一気に勢いづき、4得点で平良をKOした。5回も5得点。終わってみれば12安打で今季最多10得点。首位巨人に肉薄し、今日8日は待ちに待った甲子園開幕だ。金本監督も主軸の働きをたたえる。

 金本監督 いい仕事をしてくれている。頼りになります。四球を選んでチャンスを作ってくれたり、今日みたいにランナー一塁で1発で仕留めてくれたり。

 守備でも、円熟の技を披露した。3回、先頭平良が打席に入ると、人知れず右翼の定位置から右翼線寄りに移動していた。そこに平良のライナーがはずんできた。機敏な動きで一塁に送球し、右ゴロに仕留めて、プロ初安打を阻む。「チャンスがあれば狙っている。考えながら、うまくできて良かった」。豊富な経験に基づいて予測した好プレーだ。

 26日に39歳の誕生日を迎えるが、若々しい。発奮材料は若虎だ。打線は1番高山、2番横田と並ぶが「僕たちの仕事は、彼らがのびのびとできるようにすること。彼らを見ていると楽しいし、負けないようにやらないといけない」と話す。シーズン中は年齢の分け隔てなく、若手を誘って食事にも出かけることもある。開幕前には江越に自らのマスコットバットを渡していた。時には厳しく直言し、時には優しく接する。人望の厚いベテランも、新生タイガースの推進力になっている。【酒井俊作】