3者凡退は1度だけ。6回まで毎回のように得点圏に走者を背負い、111球を要した。それでも広島野村は両サイドを根気強く、徹底して突いた。粘りに粘り、ジョンソンに並ぶハーラートップの6勝目。交流戦初白星をもたらした。

 本調子ではなかった。立ち上がりに1点を失い、3回は打球を右すねにあてた。4回は2四球から同点に追い付かれた。「制球面で苦しだが、悪いなりに試合を作れた。要所ではしっかり投げ切れた」。2試合続けて途中降板していた6回も、1死二塁をしのいだ。

 明大の2学年下のロッテ先発関谷に負けるわけにはいかなかった。関谷が入学した10年に初めてプロを意識した。全国準優勝した広陵時代も、明大進学時もみじんもなかったプロへの思いを強くし「取り組み方や考え方が変わった」と振り返る。粘り強さは真骨頂でもある。快投とはいかなかったが、後輩右腕に大学時代のように、プロの世界でも違いを見せつけた。

 大黒柱ジョンソンが負けても、野村が救う。勝ち頭の2投手が週の頭に並んでから8週、2人での連敗はない。「今日は悪かったね。粘ったとも言えるが、次回はしっかり投げてもらいたい」という緒方監督の厳しい評価は期待の表れ。「チームが勝てたことが良かった」と言い切った野村が、リーグ最速30勝のチームを先頭に立って引っ張っていく。【前原淳】