巨人が日本最速の両腕に進撃を止められた。西武の左腕史上最速157キロを誇る菊池らの前に今季ワーストタイの3安打にねじ伏せられた。5日はプロ野球史上最速の163キロを計測した日本ハム大谷に屈した。交流戦開幕5連勝から初の連敗と勢いを封じられた。

 手段に執念をにじませて、攻略に掛かった。4回、連続四球で無死一、二塁。高橋監督は5番阿部にバントを命じた。就任後、初めて出したクリーンアップへの犠打サイン。23イニング連続無失点中だった左腕に「なかなかチャンスがなさそうと思った。とりあえずチャンスを。そういう選択肢になった」。阿部の12年6月のソフトバンク戦以来となる4年ぶりの犠打が決まった。クルーズの2点適時二塁打で作戦は奏功したかに見えた。

 だが直後に暗転した。4回1死一塁から二ゴロの高いバウンドに対し、併殺をあせったクルーズが後逸。田口が連続適時打を浴びて3失点で一気に逆転された。指揮官は「守備のミスはあったけど何とか踏ん張ってほしかった」と勝負どころの執着を求めた。

 好調な菊池の前に2度目のビハインドは重たかった。4回の3四球以外は適度に荒れ、狙いを絞りきれず。阿部は「直球を捉えきれなかった。変化球はそこまで操れていなかったので」と悔しがった。

 球界屈指の投手に手段は選べない。「これからそういうケースも増える。きっちりできるように」。主砲も小技をいとうつもりはない。勝利への執念を示すことが、巨人の王道だ。【広重竜太郎】