初出場の中京学院大(東海地区)が、中央学院大(千葉県)を5-2で下して優勝した。ドラフト1位候補の吉川尚輝内野手(4年=中京)は1安打で、今春リーグ戦から続く連続安打を19に伸ばし初優勝に貢献した。2安打2打点の山崎善隆捕手(4年=昭和第一学園)が最高殊勲選手賞を受賞。初出場校の制覇は93年の青学大以来、23年ぶりで、東海・北陸リーグが頂点に立つのは70年の中京大以来、46年ぶりとなった。

 初夏の神宮に、吉川は笑顔で別れを告げた。自身にとっても初出場の全国大会で初優勝。「まだ実感はないけれど、チームにも自分にも自信になりました」。開幕戦の1回戦・日本文理大戦で今大会最初のタイムリーを打った打者が、仲間の手で宙に舞った。

 白いはずのユニホームが薄赤く色を変えていた。「全国1勝」が目標。持ってきた戦闘服は1枚きり。洗っても、しみこんだ神宮の赤土は取れなくなった。この日の5回、3点目のホームに滑り込み左太ももの裏に大きな穴が開いた。神宮5試合の激闘、攻走守の勲章だ。

 市岐阜商で甲子園、東邦ガスで11年社会人野球に打ち込んだ父好(このむ)さん(57=会社員)から50メートル5秒台の俊足を、東邦ガスバレー部のセッターだった母陽子さん(51)から柔軟な手首を受け継いだ。大きなケガ知らずの体も両親からの贈り物。3回、大会5試合連続の安打をマーク。岐阜県リーグ開幕戦から今春全19試合で安打を放った。「疲労もある中で…。それはほめてやりたいです」と好さんは目を細めた。

 ドラフト1位候補の評価を確定させ、大学日本代表にも大きく前進。大会の顔は「山崎や柳川が頑張るから、自分も打たなければと思えました」と感謝した。生活費を捻出するためにアルバイトをしながら野球を続け、決勝完投を含む4勝を挙げた柳川優太(4年=大垣日大)。決勝の中押し2打点などでMVP、首位打者をさらった山崎主将。高め合える仲間に巡り合い、吉川は日本一のショートになった。【堀まどか】