俺がいる! 広島松山竜平外野手(30)が、「日本生命セ・パ交流戦」西武2回戦で2年ぶりの三塁打を放ち、勝利をたぐり寄せた。3回にエルドレッドが負傷交代する悪い流れの中、代役が期待される筆頭候補が早速バットで答えを出した。連勝でセ・リーグの貯金を独り占め。これからも総力戦で首位固めに入っていく。

 窮地に神経は研ぎ澄まされた。1点を勝ち越した7回だ。なおも2死一、二塁で、松山はこの日2度目の打席を迎えた。「代打かもしれないと覚悟していた。監督が行かせてくれてうれしかった。何とか取り返してやろうと思った」。左腕武隈に2球で追い込まれた。3球目は外角低めに逃げるスライダー。見逃せばボール球となる悪球に、バットが伸びた。打球は前進守備の右翼金子侑を越え、一気に三塁へ。人生初の“スタンディングトリプル”で、試合を決めた。

 存在を示す必要があった。3回にエルドレッドが右足を痛めて途中交代。戦列離脱は避けられない状況となった。代わって出場した松山は、5回の好機で凡退。前日も代打で捕ゴロに倒れていた。「低めのボール球を打ってゴロになって振れなくなっていた。でも最後は気持ちだけで打ちました」。柔軟な打撃から低めの球のさばきには定評がある。が、それが同時に短所にもなっていた。

 相手投手が左腕だったことにも意味がある。エルドレッド不在時に定位置を狙うならば左打ちは必須だ。「チームにとっては痛いかもしれないけど、僕にとってはチャンスと思いたい。チームに痛いと思わせないよう穴を埋められるようにやっていく」。定位置奪取のためにも結果が求められた打席で答えを出した。

 大砲の負傷交代を吹き飛ばす、終盤の集中打で西武を突き放した。連勝でセ・リーグの貯金を独り占めする今季最多タイの7だ。2位DeNAとは4ゲーム差と今季最大差となった。緒方監督は「地元で交流戦最後の6連戦。みんなが1つになってしっかり戦ってくれている」と総合力での勝利を強調した。今のチームには離脱者の穴を埋めるだけの力が備わっている。【前原淳】