史上最速マジック点灯が秒読み段階に入った。ソフトバンクが層の厚さをみせつけ、2位ロッテの自力優勝を消滅させた。今季初先発の岩崎翔投手(26)が7回途中1失点の好投で、2年ぶりとなる先発勝利をマーク。ロッテ唐川との「千葉同期対決」も制した。2位以下で自力優勝が残るのは日本ハムのみ。最短2日の優勝マジック点灯へ、今日1日からは本拠地で日本ハムを迎え撃つ。

 久々に手にした先発勝利の味は格別だった。岩崎が充実感をのぞかせた。「やっぱり真っさらなマウンドは気持ちよかった。最初から飛ばしていけた。楽しいなと思いながら投げていた。中継ぎで勝ち星が付くのとは全然違う」。7回途中までロッテを3安打に抑え、14年8月28日の日本ハム戦以来、2年ぶりの先発白星だった。

 2回を投げた26日楽天戦以来、中3日での登板。先のことは考えず、中継ぎ時と同じく、150キロ前後の直球を軸にグイグイ押した。工藤監督のアドバイスで足を上げる高さや踏み出す速さを修正。120球でマウンドを降りるまで、球速は落ちなかった。

 中学時代から同じ千葉でライバルだったロッテ唐川との投げ合い。ともに07年高校生ドラフト1巡目でプロ入りした間柄だ。28日には東京から福岡に向かう飛行機で偶然一緒になった。「食事でもいこうかという話にもなったんですが、結局都合がつかなくて…」。マウンドでは「正直、唐川のことを考える余裕はなかった」というが、それだけ相手打者に集中していた証拠だった。

 昨秋キャンプから工藤監督の指導のもと、筋力や体幹を鍛えてレベルアップを図った。「力を入れたい時に入れられる。トレーニングの効果も少しずつ出てきたのかなと思う」。今季は「工藤塾」から千賀、東浜がローテ入りしたが、岩崎も負けじと結果を残した。バンデンハークの代役として回ってきたチャンスで一発回答。プロでの唐川との投げ合いも2勝2敗の五分に戻した。チームは6カード連続の勝ち越しで、貯金は今季最多の29。65年7月6日にマジック62を点灯させた南海の最速記録を抜くのも、時間の問題だ。【福岡吉央】

 ▼6月のソフトバンクは16勝6敗1分けで終了。5月が18勝5敗1分けの貯金13で、6月は貯金10。ソフトバンクが2カ月連続で月間2桁貯金は、南海時代の65年に5月貯金13→6月貯金15→7月貯金10と3カ月連続で記録して以来2度目だ。ソフトバンクは1、2日の日本ハム戦に連勝すれば優勝マジックが点灯する。2日にロッテが○か△の時はM58、ロッテが●の時はM57が点灯。ソフトバンクが1、2日の日本ハム戦に○△の場合でも、ロッテが△か●でM58が出る。