日本野球機構(NPB)と12球団によるプロ野球実行委員会が4日、都内で開かれ、今季から導入したコリジョン(衝突)ルールの運用基準の見直しを検討したが、継続審議になった。NPBは後半戦からの見直しを目指していたが、NPB・井原敦事務局長は「後半戦はひとつの節目ですが、いろいろな意見を検討しなくてはいけない。監督、コーチ、選手の理解も得なくてはいけない。あまり(後半戦に)とらわれず、きちんと必要なことを1つ1つ積み重ねることを確認しました」と説明した。

 今後はNPB内の規則委員会を中心に検討するが、現状では次回の規則委員会の日程は未定。実行委員会を開かなくても見直しは可能というが、日程面からも18日の後半戦開幕から運用基準を見直すことは、事実上困難な状況になった。

 今季から導入したコリジョンルールでは、これまで捕手または本塁カバーに入った野手は、三塁ファウルライン沿いの走路に入れないという基準を厳しく運用している。これまでに4件の適用があり、判定に異議を唱えNPBに意見書や質問書が提出される事態が相次いだ。新たな運用基準では、実際に衝突が起きたかどうかを重視する方向だが、審判や全球団の意見の一致には至らなかった。

 この日は、9つのプレーについてVTRで検証した。8つのプレーに関しては意見が一致したが、見解が分かれたのは、6月12日のオリックス-DeNA戦のプレーだった。DeNA筒香が本塁突入した際の走路をオリックス山崎勝がふさいだことで、判定はアウトからセーフに覆った。コリジョンルールが今季適用された4つのプレーの中では、捕手が走路をふさいだ印象が最も強いプレーで、ブロックしていたと判断される可能性はある。今後同様のプレーがあった場合に適用するべきか否か、意見が分かれたという。

 各球団からはシーズン中の運用基準の変更に難色を示す意見もあり、早期の決定には至らなかった。

 ◆コリジョンルール 本塁での衝突(コリジョン)を避けるため、日本のプロ野球では今季から導入された。走者が故意に捕手に衝突しようとした場合はアウトになり、捕手または野手が走路および本塁上で走路をふさいだり、ブロックすると、セーフとなる。ただし、捕手または野手が守備しようとして走路をふさいだが、審判員が「捕手または野手が走路をふさがずには守備できなかった」と判断した場合は、適用されない。審判員は悪質な衝突をした走者や、本塁上でブロックした捕手または野手に警告を与え、危険極まりない衝突だと判断された選手は退場になる。

 ◆大リーグでは メジャーを代表する捕手ポージー(ジャイアンツ)が本塁クロスプレーで重傷を負ったことがきっかけとなり、14年からコリジョンルールを導入した。当初は曖昧な基準に現場の監督や選手が困惑し、この年は本塁の判定を巡り92回のチャレンジがあった。その後、大リーグ機構のジョー・トーリ氏が「もっと常識的な判断をしてほしい」と審判団に呼び掛けるなどしたため徐々にトラブルは減り、15年のチャレンジは27回に減った。