楽天がロッテとの延長戦を制し、後半戦初勝利を挙げた。1-1と同点に追いつかれた2回2死一、三塁で、プロ5年目の三好匠内野手(23)が、プロ初本塁打となる一時勝ち越しの3ラン。3回には、ゼラス・ウィーラー内野手(29)の来日初となる2打席連発も飛び出した。試合は、左肩痛から3カ月以上、1軍マウンドから遠ざかっていた辛島航投手(25)が6回2失点の粘投。延長12回に1死満塁から藤田一也内野手(34)の投ゴロが相手のサヨナラ失策を誘い、チームの連敗を3で止めた。

 強い気持ちが打たせた、プロ初アーチだった。2回2死三塁から、8番嶋が敬遠気味の四球。ネクストバッターズサークルで三好は「絶対に出てやる」と、自分に言い聞かせ打席に入った。カウント2-1からの4球目、ロッテ関谷の真ん中寄りスライダーを強く振り抜いた。「手応えはあった。二塁の手前くらいでホームランだと分かった」。左翼スタンドから大歓声が沸き起こったが、「必死なだけで」と記念の一打に浸る余裕はなかった。だが、本拠地初のお立ち台では、「緊張してあまり覚えていないけど、やっぱりいいもんですね」。ようやくホッとした表情を見せた。

 プロ5年目。同学年の大卒ルーキー茂木は開幕から遊撃のレギュラーを勝ち取り、吉持も1軍でアピールしている姿を見て、もどかしさを感じたこともあった。「同学年だしライバル。負けたくない気持ちは強いです」。1軍と2軍の往復を繰り返す中でも焦らずに、課題である守備と向き合うなど自分を見失わなかった。「守備を頑張る中で、1本出てくれればいいと思っていた」。今季初安打がプロ初本塁打。最高の結果でアピールに成功した。

 アマ時代からパンチ力には自信がある。福岡・北九州の大谷中時代、野球教室で当時ソフトバンクの和田から右中間にランニング本塁打を放った経験がある。九州国際大付では高校通算23本塁打と打撃センスは高く、プロ1年目から打者として勝負する。記念のボールは「実家に送るか自宅に置くか、まだわかりません」と思案中だ。

 三好の1発が結果的にチームのサヨナラ勝利につながった。梨田監督も「初めて対戦したピッチャーに対して、いい攻撃ができた」と打線を称賛した。3位ロッテとのゲーム差は11・5だが、諦めるにはまだ早すぎる。【田口元義】

 ◆三好匠(みよし・たくみ)1993年(平5)6月7日、福岡県生まれ。九州国際大付では春夏3度甲子園に出場。3年春はエースとして全5試合完投で準優勝した。DeNA高城は同期生。11年ドラフト3位で入団し、プロ入り後に野手に転向。174センチ、75キロ。右投げ右打ち。