高山の成長はホンモノだった! 悔しい連勝ストップの一戦も、阪神ドラフト1位高山俊外野手(23)が目の覚めるような2点三塁打で反撃の3点を生み出した。26日ぶりに戻ってきた本拠地甲子園で、一皮むけた姿を披露。3位DeNAに1・5ゲーム差と後退したが、勝負強いルーキーがCS戦線を熱くする。

 期待を背負い、応えるのがどれほど難しいことか。高山は、恐ろしいほど簡単にやってのける。大量5点を追った5回の反撃チャンス。北條が倒れて2死一、三塁。カウント1-1からヤクルト先発デイビーズの3球目を捉えた。内角低め直球に腰をグっとねじり、駒のように体を回転する。矢のように鋭い打球が、26日ぶりにタテジマ戦士を迎えた甲子園の右翼線を駆け抜けていった。

 「あの打席は良かったと思います。インコースを捉えられるようにという練習をずっとしてもらっているので、成果が出てきているだけだと思います」

 プロで4本目、甲子園では初となる三塁打で、2者を生還させた。直後を打つ福留の新人時代に並ぶ52打点目。金本監督も「5点を取られたけどその後、あきらめずに3点取った。ダラダラいかない姿勢は見えた」と反撃ののろしを上げたルーキーをたたえた。

 長期ロードの締めくくり。前日25日までのDeNA3連戦では初戦と2戦目で猛打賞。3戦目には満塁弾を含む6打点で、計13打数8安打の大暴れ。勢いそのままに、成長した姿を本拠地のファンに披露した。

 調子を上げてきた夏場。試合前練習から高山の変化が感じ取れた。8月に入ってから高山は、春季キャンプから行っていたある習慣をやめた。フリー打撃を終えてケージを出てすぐに行う素振りだ。今までは、必ず3回素振りをしてから引き揚げていたが、夏場に入って、行わなくなった。「特別意味はないですけどね」と本人は話すが、手に残る投球をたたいた感触をそのままに試合へ臨むことが、好結果につながっている。

 26日ぶりに踏みしめた甲子園でのフリー打撃でも、内角をフルスイングすると、強烈に吹く浜風をものともせず、右翼スタンドに柵越えを連発。状態の良さを見せつけていた。

 得点は高山の三塁打から生まれた3点のみ。帰ってきた甲子園初戦で黒星を喫した。4連勝でストップし、3位DeNAと再び1・5ゲーム差と離れ、背後にはヤクルトが1ゲーム差で迫ってきた。もつれてきそうなCS争い。だが、悲観することはない。猛虎には高山がいる。成長を止めないルーキーが、今日こそ聖地に六甲おろしを奏でてくれる。【梶本長之】