日本ハムの自力優勝の可能性が復活した。6点リードの7回に、一気に同点に追いつかれる苦しい展開も、救援陣が8回以降は無失点。延長12回裏無死一塁での降雨コールドの引き分けに持ち込んだ。首位ソフトバンクと1ゲーム差となり、2日前から点灯を許していた優勝マジックを消滅させた。

 最後は恵みの雨が、アシストしてくれた。日本ハムの勝利の可能性が消えていた延長12回裏無死一塁。降雨による試合中断から41分後の午後6時6分。杉本球審が降雨コールドを宣告した瞬間、自力優勝の可能性が復活した。「それは全然、関係ないだろ」と言い切った栗山監督だが、冷静に現実を受け止めた。「勝ち切らせてあげられなかったけど、負けなかったことも事実」。中断時間を含めれば5時間6分の長い、長い道のりだった。

 2戦連続の大勝ムードが、一変した。6点リードの7回に先発加藤、16試合連続無失点中だった石井がつかまり、一気に試合を振り出しに戻された。ブルペンで戦況を見ていた投手陣のリーダー格、宮西は責任を感じていた。「野手が余裕のある点数を取ってくれていたのに…。投手陣として、絶対に負けることは許されないと思っていた」。

 9回に登板した宮西が有言実行の3者凡退。延長10回からは守護神のマーティンが登板。8月27日西武戦以来、中7日での出番に「僕が一番休めていたし、回またぎはしないといけないと思っていた」。来日初の2イニングを無失点。ここまでチームを支えてきた鉄壁のリリーバーが意地を見せ、手痛い黒星を免れた。

 首位ソフトバンクとのゲーム差は半歩詰めて「1」とした。勝てる試合だったが、負けもしなかった。栗山監督は「良いも悪いもない。必ずプラスになる」。想定以上の長時間ゲームで、試合後に北海道に戻る予定が変更。急きょ、大阪で1泊することになったが、逆転優勝の望みが広がったことが救いだった。【木下大輔】