早大がドラフト候補に挙がる石井一成遊撃手(4年=作新学院)の決勝アーチで乱打戦を制し、3回戦に持ち込んだ。7-7の同点で迎えた8回2死から、2試合連続本塁打を放った。プロを見据える大型野手は、レベルアップを目指し、打撃改造中。そんな中で結果を出した。

 打った瞬間、スタンドインを確信する当たりだった。同点の8回2死無走者。石井が134キロの速球を捉えると、打球は一気に右翼席で弾んだ。「つなぐ意識だったけど、思い切り振りました。完璧です」と振り返った。主将でもある3番打者の一撃が、シーソーゲームに決着をつけた。

 母校作新学院が54年ぶりの日本一をつかみ取った先月、石井は高橋広監督(61)とともに打撃改造の練習を始めた。「ボールの捉え方。バットが遠回りしていたし、変化球にも対応できるようにと。確実性を増すようにと思って」と説明した。最終シーズンを前に、大胆な取り組みだが、将来を見据えてのことだった。高橋監督がこう評価した。「勇気がいったと思うが、次のステージでやるなら、いつかはやらなきゃいけない。やり続けています」。

 ノックを行うように自らボールを上げ、バットを振る。振り幅、ミートポイントを確認しながら等の練習はシーズンに入っても続く。そんな中、前日の開幕戦では一時逆転弾となる2ランを放った。そしてこの日は決勝アーチ。「(優勝した)後輩に元気をもらいました。彼らも上(大学)を目指してくれれば」。母校の日本一が、改造に取り組む石井を刺激してもいる。

 来月20日にはドラフト会議が待ち受ける。「なるようになる。でも、できる限りアピールしていきたい」。開幕から2試合を消化して7打数4安打2本塁打。打率5割7分1厘。石井のアピールがいきなり始まっている。【米谷輝昭】

 ◆石井一成(いしい・かずなり)1994年(平6)5月6日、栃木県生まれ。作新学院で2年夏から3季連続で甲子園出場。2年夏は4強、3年夏は主将として8強。早大では1年春からリーグ戦に出場。3年春に遊撃のレギュラーをつかみベストナインを獲得。50メートル走6秒0。遠投105メートル。181センチ、76キロ。右投げ左打ち。