「男前」がタテジマ復帰や! 阪神から独立リーグのBCリーグ福井にコーチ派遣されていた藤井彰人氏(40)が2軍コーチとして入閣することが27日、分かった。おもに若手の育成を託される。また、今季限りで現役引退を表明した福原忍投手(39)にも入閣要請し、返答を待つ状況だ。2年目を迎える金本阪神が分厚く内閣を改造し「超変革」路線を推し進める。

 現役17年で育んだ司令塔の頭脳がタイガースに戻ってくる。昨季限りで引退して阪神のフロント入りした藤井氏は今季、BCリーグ福井でバッテリーコーチとして指導者修業を積んできた。2年ぶりにタテジマのユニホームに袖を通すことが決定的になった。

 スローガンの「超変革」を掲げる金本体制1年目の今年は20人のコーチ(掛布2軍監督含む)で首脳陣を結成した。ほぼ全員が留任しながら、来年は増員する方向。その目玉が藤井氏の入閣だ。これまでも2軍本隊を外れた鳴尾浜の残留組を指導するコーチの不足が懸案になっていたという。2軍コーチへの就任が濃厚。育成レベルの選手を中心に、若手の底上げを図る意味でも、40歳と若い藤井氏の加入は適材適所の配置といえるだろう。

 98年ドラフト2位で近鉄に入団。エース岩隈(現マリナーズ)とコンビを組むなど、キャッチングや配球の妙に定評があった。現役時、身長170センチと小柄ながら、楽天、阪神の3球団を渡り歩き、経験も豊富。温厚で明朗な人柄で、ファンにも「男前」のニックネームで愛された。先輩後輩を問わず慕われる人望は指導者向きだろう。

 阪神は今季、育成から支配下登録に戻った原口が台頭したが、正捕手に定着できず。ドラフト2位坂本やプロ3年目の梅野らとレギュラーを争う構図になっている。正捕手の出現は長年のテーマだけに、バッテリー強化においても手腕に期待がかかる。

 すでに福井での指導期間を終え、現場復帰に支障はない。また、今季限りで現役引退を表明した福原にもコーチ就任を打診しているという。今後の進路について熟考しているとみられ、入閣が実現すれば、フレッシュな2人の指導がチームの財産になるのは間違いない。

 今季の首脳陣は金本監督が信頼を寄せるスタッフだ。クライマックスシリーズ進出こそ逃したが、陣容はほぼ変わらず、内部での微調整にとどまる程度だという。そのなかでも、2軍コーチを手厚くする方針。「男前」と「剛腕」に白羽の矢を立て、チームの底上げから逆襲の土台を築く。

 ◆藤井彰人(ふじい・あきひと)1976年(昭51)6月18日、大阪府生まれ。近大付-近大を経て98年ドラフト2位で近鉄入団。04年オフの近鉄・オリックス合併に伴い、分配ドラフトで楽天移籍。10年オフ阪神にFA移籍。お立ち台で「顔しか取りえがありません」と絶叫し、爆笑を呼ぶ「男前キャラ」で愛された。15年限りで引退し、フロント入り。通算1073試合、565安打、173打点、10本塁打、打率2割3分6厘。現役時代は170センチ、80キロ。右投げ右打ち。