プロ野球ドラフト会議は今日20日、午後5時から都内のホテルで行われる。前日19日、コボスタ宮城で練習する楽天ナインもドラフト指名を経験し、プロ野球選手になった。あのとき、運命の瞬間を聞いてみた。

 楽天松井稼頭央(40)は23年前を懐かしそうに振り返った。「後輩の応援で日生球場にいたんだよね」。PL学園の制服を着て、スタンドで声を出していた。だが、意識は応援よりも耳に集中。イヤホンでラジオから流れるドラフトの模様を聞く。「一緒に応援しに行ったチームメートから『どうなってるんや』と聞かれて、ドキドキやった」。

 願いは3位以内の指名だった。「昔は3位までが(中継などの)名前が出たから、とにかくそこに入りたかった」と思い返す。1位指名が終わり、2位指名も終わる。運命の3位。西武から名前を呼ばれると「マジか!」と声をあげた。「指名調査を何球団かしてくれたけど、まさか西武とは。西武が調査にきているのを知らなかった。本当にびっくりだよね」とまさかの指名に驚いた。

 ホッとしながらも違う感情も浮かんだ。「当時の西武は毎年日本シリーズに出ている強いチーム。これは試合に出られへん。出るのは大変だと思った」と気が引き締まった。偉大な選手でもうれしさと不安とともにプロへの扉を開く。93年のあの日を思い出し、「当日のことはよく覚えている」と笑った。【島根純】