偉大な先輩に続くぞ-。東京6大学の奪三振マシン、明大・柳裕也投手(4年=横浜)は、中日、DeNAから1位指名され、中日が交渉権を獲得した。明大で投手ながら主将を務めた右腕は、同じ境遇で中日に進んでエースに上り詰めた星野仙一氏(現楽天副会長)、川上憲伸の両先輩と同様に、1年目からフル回転し、新人王を目指していく。

  3代目明治ソウルピッチャーになる。中日の印象を問われると、柳ははっきりとした口調で答えた。「星野さん、川上さんは明治で投手で主将でドラゴンズに進まれた。自分も気迫を前面に出していきたい。そういう部分は大切にしたい」。2人の歴代エース同様に、マウンドで熱い闘志をむき出していくと誓った。

 大学野球は通常、野手が主将を担うことが多いが、柳は違った。立候補したわけではないが、3年終了時、善波達也監督から主将の指名を受けると「責任感は強い方だと思う。チームを引っ張るつもりでいた」と喜んで引き受けた。自らが先頭に立って練習を引っ張り通算22勝をマーク。春は3季ぶりの優勝、秋も連覇に王手をかけている。大きな縦のカーブを武器にする点は川上と同じだが、イニング数(279回1/3)を超える歴代10位の通算326三振は、両先輩をもしのいでいる。

 ドラフト1位の自覚は十分だ。森監督が先発ローテーション入りを期待していると知ると、「ありがたい言葉をいただいたので、こたえられるように頑張りたい。即戦力の部分を評価してもらっていると思う」。剛速球というよりは、制球力やクイックモーション、けん制球を含めた、試合をつくる能力には自信がある。「小笠原君は高卒で(1年目から)投げているし、自分も負けずにやりたい」と、完成度を武器に開幕ローテ入りを狙っていく。

 父を小学6年で交通事故で亡くし、星野氏同様、母薫さんに女手一つで育てられた。サインを求められると色紙に書き入れる言葉は「感謝」。「たくさんの人に助けられた。これから厳しい世界。活躍して恩返ししたい。これからが大事」。宮崎から15歳で横浜に出てきた青年は、堂々たる実績でドラフト1位に成長し、メイジの伝統を背負って名古屋に向かう。【斎藤直樹】