新天地での再出発の号砲は、ド派手な1発だった。日本ハムからトレード移籍した巨人石川慎吾外野手(23)が12日、宮崎秋季キャンプで行われた韓国・ハンファとの練習試合に「3番・指名打者」で先発。3回に外角高めの変化球を逃さず、バックスクリーン左へ運んだ。第1打席では先制の中前適時打を放ち、2打数2安打3打点と猛アピール。「初めての試合で緊張したけど、その中で結果を残せてよかった」と振り返った。

 申し分ない結果に、「来年のシーズンはもう始まっている。野球の元旦は2月1日というけど、僕はそう言っていられないので」。打った相手は、06年WBC韓国代表で韓国プロ野球で128勝(109敗)のペ・ヨンスだった。大物からの1発をしっかりと見届けた高橋監督は「ポジションは空いているので、高いレベル(の競争)でつかみ取って欲しい」と、外野手候補の1人として期待を寄せた。

 北の大地から電撃トレードで加入し、チーム合流からわずか3日目。激しい環境の変化の中で、よそ行きの服を着ないで、やってきたことを貫く信念がある。「日ハムで教えてもらった状況に応じた判断や、1歩引いて考えることを出しただけ。かっこつけるのではなくて、泥臭く全力でやりたい」と言い切った。長野、亀井らそうそうたるメンバーとの外野手争いに割って入るために、石川らしく背伸びせずに、巨人で成長していく。【栗田成芳】