巨人高橋由伸監督(41)が26日、レッドソックスからFAとなった上原浩治投手(41)に来春の宮崎キャンプでの“臨時コーチ”を要請したい意向を示した。故郷・千葉市内での少年野球大会「高橋由伸杯」の閉会式に出席。「来てくれて話をするだけでも」と希望した。V奪還に向け、今年は実現しなかった盟友の来訪を再び願った。

 2年越しのラブコールだ。高橋監督は今年2月に実現しなかった上原の来春キャンプ来訪について「まだ本人と話はしていないですが、来てくれて話をするだけでも選手は刺激になると思います」と期待した。2人は誕生日が75年4月3日で同じで、投打で巨人を支えてきた盟友。今春も来訪を打診し、上原も前向きだったが、かなわなかった。今回も上原の来季所属先が未定なことや、WBC出場の可能性もある現役投手で、コンディションには十分配慮しなければならないことなどハードルが高いのは承知の上で、“夢タッグ結成”を熱望した。

 今春キャンプは松井秀喜氏が臨時コーチとして参加した。野手陣は助言を仰ぎ、中でも坂本は軸足となる右足に体重を残す新打法をマスター。前年2割6分9厘だった打率が3割4分4厘に跳ね上がり首位打者を獲得した。高橋監督は「何がきっかけになるか分からない。多く与えられるものは与えたい」と経験値豊富な先輩の視点が飛躍の契機になり得ると考えている。

 投手陣にとって、上原の言葉はかけがえのないものになるはずだ。「OBというだけじゃなくて、現役メジャーリーガーが目の前に来てくれるのはなかなかない。選手は喜ぶんじゃないですかね」。上原の野球に対する真摯(しんし)な姿勢はよく知っている。それが、今季リーグ3位の防御率3・45だった投手陣に、化学変化をもたらしてくれると期待している。「それを生かすも殺すも選手次第。選手が生かしてくれればいいですね」と望んだ。

 来月3日には、両者の冠のついた少年野球大会の優勝チーム同士が対戦する。イベント中に直談判する可能性については「公開でしてもしなくても一緒でしょ」と笑った。熱望する上原の来訪に加え、松井氏もそろうとなれば-。巨人の本気度が伝わるキャンプになる。【浜本卓也】

 ◆巨人の臨時コーチ 直近では、14年に松井秀喜氏が引退後では初めて宮崎春季キャンプに参加。フリー打撃実演など、本格的な指導を実施した。それ以前には川口和久氏や槙原寛己氏らが臨時コーチとしてキャンプに参加した。OB以外でも、10年に見学に訪れた08年北京五輪の陸上男子400メートルリレー銅メダリスト末続慎吾氏が“臨時走塁コーチ”として、短距離走のスタートのコツを若手に授けた。