中日福谷浩司投手(25)が13日、日本サッカー協会主催「夢の教室」の先生役を務めた。愛知県小牧市の米野小学校で5年生の授業を受け持った。慶大理工学部で電子工学を専攻した、まれな経歴をもつ右腕。理論派だが、この日は理詰めではなく、じっくりと心を込めて訴えかけた。

 ドラフト1位でプロ入りしながら、1年目を故障でほぼ棒に振った。精神的に参っていた時期に日記を始めた。「今日あったこと。明日やること。自分への宣言」を毎日書くと決めた。福谷は「もうケガをしない」と宣言し続けた。

 その結果、2年目に守護神を務める活躍。「それから3年間、故障をしていません。自分は変われるんです。みんなも自分を変えていってほしい。(変化には)悪い方向もあると思うかもしれないけど、僕はいいことにつながっていくと思う」。児童は息をのむように聞き入っていた。「妻にも見せたことがない」という日記を少しだけ披露したのも、日記に込めた信念を伝えたかったからだ。

 1週間前から、練習の合間などに口で反復しながら準備した。「一番伝えたかったことを考えてきた。すべて本心です。伝えることの大切さをあらためて思いましたね」と笑顔で振り返った。この2年は抑えで開幕しながら、信頼を得られず失速を繰り返した。来季は抑え候補の1人であり、先発挑戦の可能性も残す。沈みっぱなしでは終われない。子どもたちに授けたメッセージを、福谷先生は実践するつもりだ。【柏原誠】