競輪トレで復活だ! 阪神岩田稔投手(33)が27日、大阪・岸和田市の岸和田競輪場で競輪トレーニングを行った。個人トレーナーの網川(旧姓稲川)翼氏(34)の実弟が、競輪選手の稲川翔(31)だったことで実現。8年ぶり未勝利に終わった背水左腕が、競輪をヒントに脱力投法を学び、来季の巻き返しを図る。

 野球とは縁遠い競輪場のトレーニング室に、岩田の姿はあった。滴る汗も拭わず、ただひたすら自転車のペダルをこぎ続けていた。

 岩田の個人トレーナーを務める網川翼氏の弟が、競輪選手の稲川翔ということで実現した「競輪トレ」。11月に同競輪場で初めてトレーニングを行い、この日が2度目となった。一見して筋力アップにみえるが、網川氏は競輪トレの狙いを説明した。

 網川氏 力みなくプレーするためのトレーニング。今年は力みから投球のバランスを崩すことが多かった。競輪の自転車をうまく乗るには脱力が必要。これが必ず投球にも生きてくる。

 競輪で速く走るための極意は、上半身を脱力してペダルをこぐこと。この動作が投球にもつながるという。競輪選手が使う特殊なローラー台での練習では、30キロ程の速度を保ち約20キロの距離をこいだ。その後は「ワットバイク」と呼ばれる自転車型のトレーニング器具を使用。高い負荷で1分間こぐメニューを3セット行った。見守っていた稲川も思わず「これはきつい。こんなん、やりたないわ」とポツリ。本職の競輪選手が苦笑いする過酷な練習をウエートトレーニングも含めて、約4時間行った。

 今オフは、未勝利に終わった悔しさを晴らすべく、網川氏と二人三脚で練習に取り組んできた。網川氏も「今年は練習に取り組む姿勢が今まで以上にすごい。状態もめちゃくちゃいい。力みも取れているので、(球速)150キロというのも出てくると思う」と、大台復活の可能性も口にした。

 岩田 オフに入ってから動きも良くなっている。あとは結果を出すだけです。

 年始には4年連続で米国アリゾナ自主トレに向かう。「来年で終わってしまうかもしれない。失敗は2度とできない。自分の体と相談しながらやっていければ」。異競技でもらった投球ヒントから、復活ロードを切り開く。【梶本長之】