寡黙に投げる姿で「鉄仮面」と頼られた、背番号21の魂を継承する。巨人吉川光夫投手(28)が7日、沖縄県宮古島で自主トレを公開。昨年12月に死去したOBで通算141勝右腕、加藤初氏が背負った21番で挑む移籍初年度への思いを強めた。「いいピッチャーがたくさんいらっしゃるので、番号に負けないようにしたい。鉄仮面。そうなれるように頑張ります」。簡潔な言葉に決意を込めた。

 加藤氏は西鉄からのトレード移籍1年目に15勝4敗の好成績を残し、就任2年目の長嶋監督を胴上げ監督にした。日本ハムから移籍の吉川光も、2年目での優勝を狙う高橋監督の力になりたいと誓う。「期待に応えたいです。1年間、ローテを外れずに守ることが一番大事。その準備として、今は例年の倍くらい走っています」と、このオフの新たな取り組みを明かした。

 淡々と走り続けている。この日は午前7時半に市内のゴルフ場で約45分のランニング。市民球場への移動後も、中堅から外野ポールまでのダッシュを24本続けた。「秋キャンプで、巨人は走る量が多いと感じました。キャンプでついていくには、この1月が大事。自分はプロ1年目と同じ。開幕というよりキャンプからアピールしていかないと」と自らを追い込んでいく。

 どんな状況にも強気の投球を貫く覚悟がある。「セ・リーグは球場が狭いといわれますが、外だけだと踏み込んで打たれる。同じ打たれるならインコースを思い切り突いて、強いボールで勝負できたらと思います」。ピンチにも淡々と、強気の投球で。新たな21番像を確立する。【松本岳志】

 ◆鉄仮面メモ 昨年12月11日に66歳で死去した加藤初氏は、ピンチにも表情を変えずに投げ抜くことから、長嶋監督らから「鉄仮面」の愛称で親しまれた。西鉄入団1年目の72年に17勝を挙げ新人王。巨人移籍初年度の76年は4月にノーヒットノーランを達成。シーズン15勝で、前年最下位だった長嶋巨人の初優勝に貢献した。通算成績は490試合で141勝113敗、22セーブ、防御率3・50。