マエケンイズムで勝つ! 広島大瀬良大地投手(25)が17日、広島・廿日市市の大野練習場での合同自主トレに合流した。16日まで、沖縄市で前田健太投手(28=ドジャース)らと濃密なトレーニングを続けてきた右腕は、早速ブルペン入り。米大リーグで1年戦った先輩からの助言を胸に、再転向する先発で大きな花を咲かせる意気込みだ。

 乾いた空気の大野屋内練習場に、心地いいミット音が響く。中腰の捕手を相手に、大瀬良が右腕をしならせる。33球。試運転とは思えぬ、切れのある真っすぐが捕手のミットに吸い込まれた。沖縄から10度以上温度差のある広島に帰ってきたばかり。寒さは関係ない。仕上がりの良さが、自然とブルペンに向かわせた。

 「そろそろ傾斜を使って投げておきたかった。最初にしては強さ、タイミングがはまってくれた。昨年と比べても順調にきている」

 昨年は春季キャンプで右肘を痛めて離脱。大きく出遅れた。7月20日の中日戦で先発復帰したが、3回4失点。降格後に中継ぎ転向となった。先発に再転向する今年、同じ轍(てつ)は踏まない。「肩周りの柔軟性を出すこともテーマとしてやってきた」。昨年オフは、筋力強化で胸周りの筋肉が厚くなったことで肩の可動域に影響。右肘痛の一因となった。

 16日までドジャース前田と合同トレを行い、アドバイスをもらった。シーズン中は重い負荷をかけたトレーニングではなく、投球動作に軽い負荷を取り入れる方法を勧められた。また、投球時の左手の使い方もアドバイスされた。どちらもまずは実践するのみだ。

 20日まで続く「チームマエケン」の合同自主トレを一足早く打ち上げた。前田に慰留されながら、広島に戻ったのには理由がある。「1から10まで頼ってはいけない。自分でいろいろと考えないといけないと思った。結果を残してまた呼んでもらえるようにしたい」。最後は自分の力で切り開く。それが何よりの恩返しであり、先発で復肩する近道になる。【前原淳】