東北の地でプロ野球選手となった意味を胸に刻んだ。楽天ドラフト1位の藤平尚真投手(18=横浜)が20日、同期入団の13人と東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・名取市内の閖上地区を訪問した。「テレビとは違う。自分が特別なチームに来たとあらためて感じた。復興活動とか自分に出来ること、寄付の活動をしたい。バットやグラブを贈れるよう、早くお金を稼げる選手になりたい」。慰霊碑の前で手を合わせ、言葉をかみしめた。

 脳裏には、13年の記憶があった。「楽天が日本一になった時のパレード映像は今でも覚えています。優勝することが、これほどの力になる。中でも(ヤンキース)田中将大さんの存在が印象的だった。復興のためにすごくアピールしていたと感じた」。楽天在籍時もメジャーリーガーとなっても、復興支援活動を続ける大先輩の背中に刺激を受ける。

 「僕たちは野球選手。優勝して、また東北の人たちに笑顔を届けられるように1年目から頑張っていきたい」。グランド内外でチームの顔となっていた田中のような男へ、1歩ずつ階段を上る。【栗田尚樹】