DeNAにまたしても成り上がりルーキーが現れた! 育成ドラフト1位の笠井崇正投手(22=BCリーグ信濃)が15日、韓国・ハンファとの練習試合に登板し、4者連続奪三振を含め2回を完璧に抑えた。13日の紅白戦に続くパーフェクト投球で、合計4回7奪三振。最速147キロの直球と沈むスプリットが効いた。初打席本塁打を放ったドラフト5位細川成也(18=明秀学園日立)、今季チーム1号を放った育成2年目の網谷圭将捕手(19)に続いて、投手陣からも“お宝”が出てきた。

 浮き上がる直球と沈むスプリットで、バットに空を切らせた。7回から登板した笠井は4番打者をスプリットで空振りに仕留めると、続く5番は直球で空振り三振。6番は直球見逃しで手を出させず3者三振。8回には再び沈む球で4者連続三振を奪い、2回を完璧に抑えた。衝撃度は試合後、如実に表れた。約30人の報道陣に囲まれた。第一声は「2イニング6人で抑えられてよかった」。緊張か少し顔を引きつらせた。

 見守ったラミレス監督は「直球がホップして浮き上がって来る」と解説。この日は147キロを計測したが、最速は151キロでまだまだ伸びる。さらに自主トレから本格的に取り組んだスプリットは「今まで使っていなかった」と新たな武器として加わり、沈む軌道で打者を翻弄(ほんろう)。「変化球でストライクをとることが、武器である真っすぐを生かすのに必要」と確かな自信をつかんだ。

 現役大学生ながら、独立リーグからドラフト指名を受けた異色の経歴が、成り上がりストーリーを彩る。早大野球部を2日で退部。サークルで野球を続けキャンパス近くの焼き肉店でバイトした。お客さんには2歳年上の日本ハム有原がよく通い「すごいなって見ているだけでしたけど、そういう選手と対戦したい」と、ひそかに野望を抱く。

 バレンタイン翌日、甘いチョコではなく渋いエールを受けた。朝食から部屋に戻ると浅野2軍投手コーチから「いい準備をして、しっかり腕を振って来い」と置き手紙。その通りの活躍にも「三振にこだわりはあまりない。低めに投げてゴロを打たせる投手。チャンス来た時、またいい投球をできる準備をしたい」。しっかりと足元を見つめながら、成り上がっていく。【栗田成芳】